6.風景
常北町は広い平地、桂村は低い山地と平地、御前山村は那珂川を挟んだ盆地、七会村は出がちの地形と、本地域の4町村はそれぞれ特徴的な地形を有し、一方で本地域全体とすれば、隣接した一定の範囲に多様な自然がコンパクトにまとまっているという魅力を有する。
田園風景の価値は、多様な自然環境、多様な生物層、多様な植物層があると同時に、それらがヒューマンスケール性(人間的な規模)や地域性などによって統一的なイメージをもって映し出されることにあり、本地域の農村においても水田や茶畑、地形に沿って配置された農家の家並みなど、田園風景としての価値を十分に有している。
また、田園風景はただ立ち止まって眺めるだけではなく、歩きながらその広がりやつながってゆく景色を体感することで、より一層魅力を増す。現在は点としての景観には所々に光るものがあるが、線としてそれらを結びつける道の魅力はまだ不十分であるといわざるを得ない。田舎歩きをレクリエーションとして機能させるために、地域特有の美しさを追求するとともに、みせるための仕掛けづくりも必要である。
最後に、本地域は春の花、夏のキャンプ場、秋の実りなどに地域性の豊かな資源が存在するが、冬にはあまり特徴ある資源はない。しかし田園風景の中では四季の移り変わりを田畑の状況や生えている植物、活動している昆虫や動物などの姿から目にすることができる。冬だけを切り取ってレクリエーション機能の割り当てを考えなくとも、田園風景をレクリエーション資源として認識できれば、時間性や四季性に限定されない、活用方法に幅のあるレクリエーションが可能になる。