資料7 事例:退職就農者による特産の梨の後継者育成
「ガンコオヤジの梨を作る会」(鳥取県東伯君「東郷町)
活動のポイント
・町内の退職就農者が、梨栽培の適期管理を基礎から習得するための研修活動
・会員相互の親睦を深め、栽培意欲の高揚及び栽培技術の向上を図る
・退職就農者の第二の人生(事業梨栽培)を支援し、産地の維持強化を図る
【経緯】
平成元年、町内在住の農家の子弟が、中学・高校・大学から数十人卒業した。
その中に農業を志し跡継ぎを希望したのはたったの2人であった。その年、日本全国で農業の後継者が1,800人だったのと比較するとまだ良い方であるが、梨の名産地としてその名を全国に轟かせてきた東郷町にとっては全く淋しい限りである。
それを憂えた当時の倉吉農業改良普及所普及主幹が、定年退職した人で農業を志す人はないものかと調査した結果、農業の経験はないが、奥さんとコツコツ梨作りをしている人達がいることが判った。農業の後継者は、若い人達ばかりではない、専業農家がここにいた。
平成元年11月に普及所の呼びかけにより当時の「退職就農者の梨栽培研究会」が農協の協力のもとに3年計画の事業としてスタートした。3年間の事業が終り、せっかくの研修活動をこのまま終らせたくないという声が参加者の中から上がり、翌年の平成4年度より事務局を農協に移し、会名を新たに「頑固おやじの梨作ろう会」とし、年間の研修計画を立て栽培技術の習得及び向上を目的に活動のスタートを切った。
もともと奥さんの方が、栽培に関しては先輩である。妻に早く追いつけ、追い越せと研修活動に熱心に取り組む参加者達である。
そもそもこの「頑固おやじ梨作ろう会」の会名の由来は、よく勘違いされるが頑固なおやじ達の集まりではない。全くの間違いではないが本当の意味は、これから先も東郷の梨を頑固に守って行こうという意志を込めて決まった会名である。
【活動の内容】
町内の退職就農者(企業などを退職後、本格的に梨栽培に取り組む人)の栽培技術の向上と意欲の高揚を図り梨産地の維持強化を目的に、年間5回の研修計画を立て梨栽培の重要な時期にポイントを置き、実技研修及び優良国の視察などの研修活動を行う。
【参加者の状況】
人員・年齢構成
現在会員数 ――― 27名
年齢構成 ――― 57〜73歳
【組織と財源】
1) 組織:町内在住の退職就農者 現在27名(会長)
農協営農指導者 4名(事務局)
当地区果樹担当普及員 2名
2) 財源:農協助成金10万円、年会費1人2,000円(懇親会費は適宜対応)
資料:財団法人長寿社会開発センター「平成5年度高齢者の社会参加活動報告書」(平成6年3月)