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第6章 キャラバンで見えてきた課題

 

第1節 会場の意見から

 

各会場で行ったキャラバンはわれわれに貴重な情報を与えてくれた。会場に来られる方は障害者だけではない。家族の方、移送サービスの運転手の方、地方自治体の福祉関係の担当者の方、警察の免許関係の方、福祉車両のメーカーの方等多種多様な方々が来られた。さまざまな角度からJOY−VAN全国キャラバンや「JOY−VAN」、そしてJoy Projectへの活動に対して意見をいただくことができた。
全国42ヶ所のキャラバンではアンケートを行い、9ヶ所ではシンポジウムもおこなった。都会と地方では反応が違ったし、雪国には雪国の事情があった。また公共交通機関が少ない地域では自動車に対する必要度は高かった。さまざまな地域をキャラバンしさまざまな生活環境の方々に見てもらうことができた。その参加者からあがった意見の中で、特に共通して多かったのは次の6つであった。
?@車両が大きいので日常生活で使用するのは不便ではないか
?A左ハンドルは抵抗がある
?B右側リフトは安全面不安と使用時に不便さを感じる
?C車両購入にあたり充分な公的補助制度が必要ではないか
?D免許の取得は本当に可能なのか
?E日本製電動車椅子では座席にできないのか
その他細かくあげるときりがないほどたくさんの貴重な意見を伺ったが、ここではテーマを上記の6っに絞り1つ1つを検証して行きたい。

 

第2節 車両の大きさに関する考察

 

「JOY−VAN」の大きさは、幅198?p、長さ480cm、高さ195?pである。長さと高さは日本の標準的な5ナンバーサイズのバンとほぼ変わらないが、幅が198?pあるのはキャラバンの参加者に大きい印象を与えたようだ。実際に、「家の車庫には入りません」といわれる方もいた。
日本の標準的な小型車が、幅約170?p排気量が2000?tであることを考えると、見た目の大きさに加えて搭載エンジンの大きさも気になるのであろう。「JOY−VAN」の排気量は4290?tであるから抵抗があるのはうなずける。4000?tを超えるエンジンの乗用車は日本ではまだ一般的とは言えないようで、「燃費はどのくらいですか」と聞かれることも多かった。また、排気量が4290?tということを聞いて「ふえー」と感嘆し言葉を失う人もいた。
「車両が大きい」ということに関しては車種選定にあたり、スタッフの中でも十分議論された問題であった。日本の道路交通事情にあっているのか、という点である。しかし、あえて大きい車を選定した理由があった。

 

 

 

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