日本財団 図書館


第2節 松本市と盛岡市のイベント

 

全国のキャラバンで当事者主催型キャラバンとして大きな成功を収めた松本市のイベントと協賛企業主催で大成功を納めた盛岡市のキャラバンをここでは取り上げ、特徴的なイベントとして紹介したい。

 

1、松本市のイベント

 

松本の「自立支援センターちくま」の活動の原点が「軒を貸す」という言葉に代表されるように、障害者と健常者、また、障害者同士の壁を感じさせない状況が確立されており「ジョイカー全国キャラバンin松本」の成功も、Joy Projectの持っているいい意味での『目立ちたがりの精神』を実に上手に活用いただいた例として紹介したい。
実施のポイントとして「ちくま」にアドバイスしたのは、まず自分たちの考えを整理することだった。なぜ、「JOY−VAN」が必要なのか。いつ誰に見ていただきたいのか。見ていただきたい方々がどのような環境だったら参加していただきやすいのか。
他県のキャラバンを実例に「企画書」「協賛企業へのアプローチの方法」「各メディアヘの案内の方法」など具体的な情報をお渡しするとともに6月20日に打ち合わせをかねて松本へ出向いた。
各地のキャラバンの成功の可否はこの1日にかかっている気がする。成功したキャラバンの受け入れは事前の打ち合わせで、詳しく地元の状況が聞けた。関係者、当事者ともすぐ会える状況で準備していただいている。Joy Projectの事前乗り込みは場所を見るだけでなく、人と会い空気で感じてくるものが多い。特に車両展示の場合様々な許可など根回しの部分が多く、周囲の関係者とのセッティングがうまくできているかがポイントとなる。
地元の関係者にも同時開催できるようなイベントの招致を徹底し、別の場所で開催予定だった人形劇のついたフリーマーケットの同時開催を実現。「ちくま」が使用している介助型福祉車両の関係でつながりのある松本日産自動車も協力することになり、(株)オーテックジャパンの福祉車両アンシャンテシリーズも展示されることになった。
当初の開催スペースではとても収まらなかったが信州ジャスコ南松本店からご配慮をいただき開催スペースを大きくした。
地元メディアには各方面にJoy Projectの広報と「ちくま」の両方から取材依頼を入れた。当日までには多くのチラシを配布していたようであったし、当日には館内放送とチラシというアピールをおこなった。できる限りのきっかけを作ることがイベント成功の大きな原動力となる。
イベントとしての成功も大きいが、関わってくれたスタッフが課題を消化しながら成長していく姿はもっと嬉しい。松本の場合「ちくま」のスタッフが、背を丸めず、お願い口調にならず堂々とそれぞれの交渉を進めていく様子は、各地の交渉の状況を見てきた私にとって実に印象的だった。
事前のJoy Projectからのアドバイスをうまく活用し会場借り受けのための書類提出など具体的な交渉を進めていく状況から「ちくま」が今まで松本でどのようなスタンスで活動していたかが非常によく理解できて学ぶべきものが多いと感じた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION