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たまたまその年の10月、ヒューマンケア協会の「障害者リーダー養成海外研修旅行」に参加することになり、訪問先のフィンランドにおいてジョイスティック・コントロール・カーの現物に巡り会うこととなる。ヘルシンキの自立生活センターにおいてジョイスティックコントロールカーの有無を確認したところ「今年の3月に実用化されたばかりである」との回答で、早速製作会社に連絡を取ってくれた。社長は自ら「その車」を運転し500キロの彼方から駆けつけ、我々に乗車体験の機会を提供してくれた。周辺機器のスイッチ類についてはまだまだ十分な開発がされているとは言い難かったが、ジョイスティックに関する限り走行安定性は抜群であり、十分信頼するに足ると感じられた。この体験はさらに決断を強固なものとし、大きな力を与えてくれた。
帰国後参議院議員のコロンビア・トップ氏にお願いし、参議院運輸委員会において「車椅子ごと乗車し、ジョイスティックコントロールを使って運転できる車が欧米では10数年前から重度障害者の日常の足として活躍しているが、わが国で実現できないか」との趣旨の質問をお願いした。亀井運輸大臣からは「保安基準を満たしてさえいれば、何ら問題はない」との公式回答を得ることができた。これで条文変更等の作業が全く必要ないことが公式に確認されたことになり、担当部局との交渉で全て解決できる見通しが立った。
そこで仲間に呼びかけをし、基本的な考え方をまとめ、準備作業を始めた。現実に車の免許を取れない仲間から「熱い期待」と「力強い支持」を受け、準備は急速に現実の活動へと突き進んだ。
平成8年度から日本財団の支援を得られることとなり、ジョイスティックコントロールカーの早期導入事業を実施した。

 

実施目的

 

1997(平成9)年度は、わが国で初めて車両登録票(ナンバープレート)を取得し、平行して全国キャラバンの実施を通じて当事者及び関係者、関係機関に周知を図ることを目的とした。
車両登録票の取得は前年度の『障害者用新システム車の早期導入と普及』(電動車椅子で乗り込み、電動車椅子に座ったままハンドコントローラー、またはジョイスティックコントローラーを使って運転できるミニバンの早期導入)事業実施過程において、残念ながら達成できなかったため、今年度事業として取り組んだ。

 

 

 

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