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■事業の内容

平成8年6月に、国連海洋法条約が批准され、また関係国内法令について新規立法もしくは改正の措置がとられた。新海洋法秩序をわが国で実施するための法制が整備され、今後はその具体的な解釈・適用・執行のしかたについて、関係諸国の関心が集まることになると考えられ、これを受けて、本年度から「海洋法調査研究委員会」を新たに組織し、海洋法条約批准後の海洋法制の展開とこれに伴う海上保安法制の重要な課題について調査研究することになった。
 今期の委員会は、学者側委員会が中心となって、調査研究テーマの選定と個別項目の報告を担当し、官庁側委員は討議など側面的に参加した。
 また、海外調査として、本年度はカナダ及び米国におけるわが国の関係法制との比較検討、また、その後の国外での評価等を調査した。
 これら各委員の調査研究発表及び海外調査の実績を報告書にまとめた。
 委員会の調査研究内容は以下のとおりである。
 第1回海洋法調査研究委員会
   検討テーマの選定と学者側委員へのテーマ配分
   国連海洋法条約関連国内法の説明
 第2回海洋法調査研究委員会
   追跡権行使と海上保安官の職務執行に対する妨害
   緊急入域した外国船舶に対して取り得る措置
 第3回海洋法調査研究委員会
   大陸棚・排他的経済水域の科学調査
   外国船舶によるわが国大陸棚の調査に対する措置
   EEZにおける外国船舶の海洋汚染
   わが国の排他的経済水域における漁業取締り
 第4回海洋法調査研究委員会
   接続水域における密航の取締り措置
   カナダ及び米国における海外調査の実施報告
■事業の成果

わが国は、平成8年6月に懸案であった国連海洋法条約が批准され、同時に多くの関係国内法令について新規立法または改正の措置がとられた。
 新海洋法秩序をわが国内で実施するための法制が整備され、今後はその具体的な解釈・適用・執行のしかたについて、関係諸国の関心を集めることと考えられる。
 今期、海上保安協会内に新たに設置した海洋法調査研究委員会は、学者側委員が中心となり、領海、接続水域、排他的経済水域、大陸棚等海域区分により主要事項に関する執行措置を対象に選び、海洋法条約と関係新国内法の適用をめぐる具体的な問題点を検討し、充実した討議を進めることができた。 
 また、海外調査として、カナダ及び米国におけるわが国の関係法制との比較検討及びその後の国外での評価等調査研究を行った。
 新たに始まった4期目の第一年度におけるこの調査研究は、新海洋法秩序維持の礎の構築を図り、わが国の公益に資するところ大であると思われる。





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