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「海事の国際的動向に関する調査研究」の報告書

 事業名 海事の国際的動向に関する調査研究
 団体名 日本海難防止協会 注目度注目度5
■事業の内容

海上交通の国際的性格上、海上安全の確保及び海難防止の問題については、常に国際的動向に注目して、これらを斟酌する必要がある。
 現在IMOにおいて、94年9月に北欧で発生した「エストニア号」の海難を契機として、「ROROフェリーの安全性」が最重要課題として議論されており、それに関連して「海上人命安全条件」(SOLAS条約)、「1979年の海上における操作及び救助に関する国際条約」(SAR条約)等の見直しも検討されているところである。他方、「船位通報・航路通航の強制化」、「海難の人的要因」、SAR計画における各国のSAR体制の充実及びこれに関係する「全世界的な海上遭難・安全システム」(GMDSS)の運用等についても引き続き検討されている。
 そこで、先進海運国であるわが国としては、積極的にこれらの検討に参画する必要があることから、これら海難防止関連事項を中心に各国の動向を調査するとともに、当協会ロンドン連絡事務所の協力の下にIMO関連会議に調査員を派遣して、これら会合におけるわが国の対応に寄与することを目的として実施した。
 [1] 調査の方法
  a.委員会による検討
   学識経験者、関係団体及び関係官庁で構成する「海難防止の国際的動向に関する調査研究委員会」を開催して、わが国における問題点、対処方針等を検討した。
   (a) 委員会の開催
    イ.第1回委員会を開催して、次の事項を検討した。
    ロ.第1回COMSARの審議概要について
    ハ.第66回MSCの対処方針について
   (b) 第2回委員会を開催して、次の事項を検討した。
イ.第66回MSCの審議概要について
    ロ.第42回NAVの審議概要について
    ハ.第67回MSCの対処方針について
   (c) 第3回委員会を開催して、次の事項を検討した。
    イ.第67回MSCの審議概要について
    ロ.第2回COMSARの審議概要について
    ハ.平成8年度報告書(案)について

  b.関係資料の収集、整理及び解析
   当協会ロンドン連絡事務所との連携のもとに、各国の関連情報、関連資料の収集、整理及び解析を行った。

  c.IMO会議への出席
   IMO会議で審議される事項については、わが国が慎重・適切に対応する必要がある重要課題であることから、次の会議に調査員を派遣して、委員会における研究結果を踏まえて、当協会ロンドン連絡事務所との密接な協力の下に、わが国の意見の反映を図った。
   (a) 第66回海上安全委員会(MSC)
    イ.開催日:平成8年5月28日〜6月6日
    ロ.場 所:IMO本部(ロンドン)
    ハ.調査員:1名
   (b) 第42回航行安全小委員会(NAV)
    イ.開催日:平成8年7月15日〜19日
    ロ.場 所:IMO本部(ロンドン)
    ハ.調査員:1名
   (c) 第2回無線通信・捜索救助小委員会(COMSAR)
    イ.開催日:平成9年1月27日〜31日
    ロ.場 所:IMO本部(ロンドン)
    ハ.調査員:1名

 [2] 調査項目及び内容
   IMO会議の議題である下記の項目について、前年度に引き続き調査研究を行った。
  a.航路通報の強制化
   改正されたSOLAS第5章に基づく各国の制度について、グレート・バリア・リーフ(豪)、ユーシャント沖(仏)、グレート・ベルト(デンマーク)及びジブラルタル海峡(スペイン)の提案を検討した。
  b.航路指定
   航路指定について、スエズ湾におけるTSSの変更、南アフリカ沖の積載タンカー通航規則の制定等の各国提案を検討した。また、国連海洋法に基づく群島航路帯の設定について、インドネシアから提案があり、承認手続き、航路帯設定の妥当性等の検討を開始した。
  c.SAR条約に基づく各国SAR計画の状況等
   航空及び海上捜索救助の調和、ROROフェリーの安全対策の一環としてSAR条約の見直し等について検討した。
  d.GMDSSの体制、運用等について
   1999年2月のGMDSSの運用開始に向けて、既存の遭遇信号の取り扱い等の最終的な問題について検討した。
  e.電子海図について
   電子海図の表示及び情報装置に関する各国提案について検討した。

 [3] 報告書の作成
  a.規 格:A4版 コピー製本
  b.部 数:150部
  c.配布先:委員会及び関係官庁、関係団体、図書館、教育機関等

 [4] 委員会の開催
   海難防止の国際的動向に関する調査研究委員会:3回

(2) 海洋汚染防止関係
  海洋汚染防止の国際的取り決めの基本となるMARPOL73/78条約は、附属書<1>(油)、附属書<2>(ばら積みの有害物質)、附属書<3>(容器入り有害物質)及び附属書<5>(廃棄物)が既に発効し国際的に実施されており、附属書<4>(汚水)について締約国が15ヶ国を超えてはいるものの、まだ発効要件を満たしていない。
 [1] 調査の方法
  (a) 第38回MEPC
   イ.開催日:平成8年7月1日〜10日
   ロ.場 所:ロンドン
   ハ.調査員:1名
  (b) BLG中間会合
   イ.開催日:平成8年9月23日〜27日
   ロ.場 所:ロンドン
   ハ.調査員:1名
  (c) 第39回MEPC
   イ.開催日:平成9年3月10日〜14日
   ロ.場 所:ロンドン
   ハ.調査員:1名

 [2] 調査項目並びに内容
  a.MEPC及びBLGに関する資料の収集、翻訳及び解析
   国際会議に出席し、わが国の代表を補佐するとともに下記のとおり、海洋汚染防止関係会議の資料の収集、解析を行った。
   (a) 第38回MEPCの各国提出書の翻訳及び担当議題の資料作成等
   (b) BLG中間会合の各国提出書の翻訳及び担当議題の資料作成等
   (c) 第39回MEPCの各国提出書の翻訳及び担当議題の資料作成等
   (d) 第1回BLG、第38回MEPC、BLG中間会合の報告書の翻訳、整理等
  b.MARPOL条約に関連する資料の収集、翻訳、解析を行った。

 [3] 報告書の作成
  a.規 格:A4判 コピー製本
  b.部 数:100部
  c.配布先:委員会委員、関係官庁、関係団体等

 [4] 委員会の開催
   連絡調整委員会   3回
■事業の成果

(1) 海難防止関係
  IMO第66回MSC、第42回NAV及び第2回COMSARに調査員を派遣し、アドバイザーとしてわが国代表を補佐させ、強制化された船位通報及び航路指定の具体的案件の検討等重要な議題について、わが国の対処方針の反映を図った。また、同時に各国の動向調査及び情報収集を行い、これを関係当局及び団体等について報告書をまとめ、海難防止に関する国際的な動向を知ることができる資料として、これを関係当局及び関係団体に広く配布し、海難防止の推進に寄与することができた。

(2) 海洋汚染防止関係
  本事業は、海洋汚染防止条約に関するIMOの動向を把握するとともに、関係当局の指導によりMEPC及びBLG国際会議の前後に関係当局及び関係団体等で構成する連絡調整委員会を開催して国際会議の審議事項の検討を行い、わが国の対処方針の策定及び行政の円滑な運営に寄与した。
  また、MEPC及びBLG国際会議に代表を派遣して、政府代表を補佐するとともに国際会議の関係資料の収集・翻訳及び解析を行い、これから得た情報を当局をはじめ、海運及び関連業界に提供し有効な活用を図った。
  さらに、関係資料のうち必要な事項については、報告書に掲載し、海洋汚染防止のための参考資料として関係機関をはじめ関係団体等に広く周知して活用されており、関係者の海洋汚染の保全に貢献するところ大である。





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