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■事業の内容

(1) 海外動向調査研究報告書
  内外の資料をもとにアジア及び中近東における海運・造船事情等を審議し、報告書(エリア2:タイ、マレーシア、シンガポール エリア4:インドネシア、フィリピン、 エリア6:サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、オマーン)各100部を作成配布した。
■事業の成果

(1) 海外動向調査研究
  今回の調査対象国はアジア5ヶ国、中近東4ヶ国である。(エリア2:タイ、マレーシア、シンガポール エリア4:インドネシア、フィリピン、 エリア6:サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、オマーン)
(エリア2)
 タイの船腹保有量は、約170万総トンで殆ど20年以上の老齢船であり、国内に主たる建造造船所もないことから中小型船の輸出市場といえる。
 マレーシアは自国船による船腹拡充計画を進めており、今後、かなりの船舶需要が見込まれる有望市場である。
 一方、シンガポールはわが国にとって修繕部門及び小型船舶のライバル国であり、常に注目すべき市場である。
(エリア4)
 インドネシアにとってわが国は貿易面、経済援助の面でも最大の協力国である。かつて同国へは、古くは賠償船等を含め大量の船舶が輸出されたが、最近は自国の造船設備が整備されてきたこともあり、船舶の輸出は減少している。また、中小型船の受注にも力を入れており、わが国にとってライバル国になりつつある状況にある。
 フィリピンの船舶保有量は約880万総トンで、大小7,100有余の島々からなる多島国で、海運業は盛んであるが、保有船の大半は老齢船である。また、船舶の調達は殆ど中古船を改造するので、現在のところは新造船はあまり期待できないが、しかし、国内経済の立ち直りや、1998年に独立宣言100年目を迎えることから、今後、活発化することも予想され有望な市場になる可能性も秘めている。
(エリア6)
 サウジアラビアに対する輸出実績は殆どなく、中小型船市場としては期待できない。しかし、世界有数の産油国であり、また、石油化学工業の振興による付加価値の高い石油関連製品の輸出拡大に努めていところから、将来的にはケミカルタンカー等の需要が見込まれる。
 クウェートはペルシャ湾に内陸部との物質の中断地として古くから海運業が発達しており、保有船腹は206万総トンと他の湾岸諸国に比べても多いが、老齢船が多い今後は、これら老齢船の代替建造需要が見込まれるので、タンカーや作業船等の輸出実績を有するわが国としては同国海運の中核3社(クウェート・オイル・タンカー、ユナイテッド・アラブ・シッピング、アラブ・マリタイム・ペトロリウム・トランスポート)の動向を注視していく必要がある。
 アラブ首長国連邦としての統一された海運政策がなく、保有船腹もここ数年90万総トン前後で推移しており、現在のところは中小型船の輸出市場としては期待できない。
 オマーンの保有船腹は16,258総トンと極めて少なく、また、同国の経済規模も小さいため、船舶需要は全く期待できない。
 以上のように、今回の調査研究により対象国の基礎資料を整備し、今後の輸出対策樹立の指針とすることができた。





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