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■事業の内容

(1) 水生植物群落(ヨシ群落等)保全対策調査・研究(実験)
 [1] 資料・文献の翻訳
   欧米及びその他の先進地域における、水生植物群落(ヨシ群落等)保全に関する最新情報や、各国の保全条例等、既存文献及び視察時に持ち帰った資料の翻訳を行い、これらの保全に対する思想及び技術を学んだ。
 [2] 資料・文献調査
   翻訳等により海外での水生植物群落保全の制度及び技術を把握し、加えて海外先進事例視察時に収集した資料により先駆的事例の思想及び技術等を学び、報告書等により紹介した。
 [3] 現地調査
   資料・文献調査により選定された現地調査地点(54ヶ所)において、群落の分布状況及び成育条件(特に水分条件を中心に)を周辺の微環境とともに詳細に調査した。
 [4] 野外実験
   水生植物群落の特徴的な分布が見られる地域に実験区を設け、環境条件の変化と群落の遷移に関する実験を試み、水辺環境保全・復元・創造を行う際の基礎資料とした。
(2) 環境教育カリキュラム原案等の作成
 [1] 環境教育カリキュラム原案等の作成
 [2] 海外での環境教育調査 
   平成7年度は、海外における環境教育カリキュラムを推進するに当たっての組織体制、法制度、カリキュラムの基準等に関して検討を行った。
   平成8年度においては、前年度の調査をもとにさらなる段階として各国でカリキュラムの具体的内容について調査を実施し、指導すべき項目等についての抽出を行った。
 [3] 環境教育カリキュラム原案作成
   平成7年度の検討結果並びに平成8年度の調査結果をもとに、義務教育における環境教育カリキュラムの必要要素をとりまとめ、日本の教育カリキュラムの中での環境教育のあり方について検討を行う。また、日本における環境教育カリキュラムの具体的な実践案の検討を実施した。
(3) 学校ビオトープ普及ビデオ、並びにガイドの作成
 [1] 学校ビオトープ普及ビデオの制作
   平成7年度の学校ビオトープ整備を受けて、平成8年度は環境教育を推進する際に有効な教材となるこの「学校ビオトープ」の普及啓発ビデオを作成した。内容に関しては、学校ビオトープの理解を促すことを中心に置きながら、その整備方法、管理のあり方等を提示した。
  a.仕 様   VHSビデオ(20分)
  b.数 量   200本
 [2] ガイド(冊子)の作成
   ビデオの制作に伴い、行政・教師向けに学校ビオトープガイド(冊子)を作成する。
  a.仕 様   B5版 8頁(写真等多用)
 b.数 量   200部
※本事業は、平成9年6月30日完了予定である。


■事業の成果

当会は、昭和59年3月に設立し、埼玉県の豊かな自然環境の保護や復元を目的に、自然環境研究センターを設けての自然環境データに基づく保護対策の提言、トラスト活動、ビオトープ事業(自然環境復元・創造事業)の推進等を実施している。
 [1] 特に都市化の著しい埼玉県は、自然環境の消失や悪化が著しく、中でも水辺の水生植物群落は危機的状況にあるとさえ言える。水生植物群落は、水域と陸域という非常に性質の異なった環境を結びつけ、水辺環境を良好な状態で安定的に維持し、ビオトープとして機能するなど、他に代替できない多様な機能を総合的に擁することが知られており、世界的にも保護対策の必要性が認識されつつある。
   本調査研究は、埼玉県の水辺環境の現況と動向を的確に把握すると共に、アンケート調査等の手法を用い、全国の動向との照らし合わせを行い、加えて、先進諸国において成果を上げつつある水生植物群落保護の諸事例を参考に、我が国の環境特性に即した水辺環境(水生植物群落等)の保全・復元・創造対策を策定した。
 [2] 自然環境の消失や悪化が顕著となるなか、その根本的な解決策のひとつに環境教育の充実が挙げられる。近年では、徐々に通常の学校教育カリキュラムのなかで環境教育も導入され始めているが、その多くは未だ単発的に実施されているに留まり、また教師においても「環境教育とは何か」が理解されておらず、児童生徒に対しての指導も不十分なものが多いのがず、児童生徒に対しての指導も不十分なものが多いのが現状であった。
   本調査研究では、先進諸国の組織体制、法体制、カリキュラム事例等を参考に、日本において環境教育を実施していく際に必須となる総合化、体系化のとれた環境教育カリキュラムの構築に向け、従来の学校教育カリキュラムを踏まえた上で環境教育カリキュラムの中での指導内容の検討を図り、実践例を検討、またカリキュラムを進める有用な教材となる学校ビオトープの普及をビデオで図ることにより、学校における環境教育のより一層の向上に寄与するものと期待できる。





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