■事業の内容
(1) 京浜港における外貿コンテナ貨物量の現状 運輸省、横浜税関、各港港湾局等の統計、調査資料等を収集し、整理・分析を行った。 [1] 航路別貨物取扱量 [2] 品目別取扱量 [3] 東京・横浜税関扱い通貨貿易量の推移 (2) 京浜港を中心とした外貿・内貿貨物の国内流動の実態 運輸省、横浜税関、各港港湾局等の統計、調査資料等の他に、海産研(海事産業研究所)、JETRO、トラック協会、JR貨物、内航海運関係団体等から資料を収集し、整理・分析を行った。 [1] 京浜港を中心とした外貿コンテナ貨物の国内流動実態 [2] 輸送手段からみた外貿コンテナ貨物量の国内流動実態 [3] 東京・神奈川を中心とした内貿易物の将来動向分析 [4] 各輸送機関別所要時間及び輸送コスト比較 (3) 京浜港を中心とした入港船舶の動向 運輸省、各港港湾局の統計資料をもとに整理・分析を行った。 [1] 外航船舶のトン階別入港状況 [2] 内航船舶のトン階別入港状況 [3] 外航コンテナ新造船の動向 (4) 事例研究 国内外の各港におけるハード・ソフト両面の実態を比較検討するため、フィーダー輸送の現状や国際メインポートとしての機能について、実際各港を訪問し、資料収集及び関係者から聞き取り検査を行った。 [1] 東アジア主要港(高雄港、香港港、シンガポール港)における実態 [2] 阪神港を中心とした内貿フィーダーの実態 [3] 苫小牧、仙台、常陸那珂の実態
(5) 京浜港を魅力ある外貿コンテナ港とするための検討事項のリストアップ、及び京浜港の実態(事例研究に基づき、京浜港を魅力ある外貿コンテナ港とするための検討) 東アジア主要港、北海道・東日本各港の事例研究結果に基づき、ハード・ソフト両面の比較検討を行った。また、阪神港におけるフィーダー輸送の実態を整理し、今後京浜港を中心としたフィーダー網整備のための参考とした。 [1] ハード面からみた東アジア主要港と京浜港の比較 [2] ソフト面からみた東アジア主要港と京浜港の比較 [3] 阪神港及び地方港の現状
(6) 京浜港を中心とした東日本、北海道間の内航フィーダー輸送の将来動向 運輸省港湾局、経済企画庁、運輸政策審議会、国際港運連盟等のデータをもとに、外貿コンテナ貨物量及び内貿フィーダー貨物量の将来予測を行った。 また、商社、製造業者などの荷主からヒアリング調査し、貨物量将来予測の参考にした。 [1] 外貿コンテナ貨物量の将来予測 [2] 内貿フィーダー貨物量の将来予測 [3] 外貿・内貿を併せ積みした場合の内航フィーダー貨物量の将来予測
(7) 京浜港を魅力ある港湾とするための諸方策、京浜港を中心とした内航フィーダー輸送網の整備、及び港湾荷役システムの検討 京浜港については、内航フィーダーバースの整備策、海上積み替えシステムの整備策等を具体的に提起し、地方港においては、複合ターミナルの整備について提起した。検討を行う上で、船会社・港運事業者等の意見を参考にし、関係者間の整合性を図った。 [1] 京浜港の整備検討 [2] 地方港の対応検討
(8) 輸送システムの検討 京浜港と東日本各港の間において、適切な運航スケジュールで必要な貨物量を安定的に輸送するためのフィーダー船の船型とその機能を明らかにした。 また、この新フィーダー船を受け入れるターミナルシステムについても検討した。 [1] フィーダー船の検討 [2] フィーダーターミナルシステムの検討
(9) 京浜港における海上輸送網整備調査のまとめ 京浜港が国際メインポートとして、さらにその魅力を向上させるためのソフト面を中心とした諸方策、及びこれに関連して内航フィーダー網の整備についてとりまとめた。
(10)委員会の実施 [1] 第1回京浜港における海上輸送網整備調査委員会 日 時 平成8年6月10日(月) 14:00〜16:00 場 所 船舶振興ビル10階会議室 出席者 8名 課 題 ・事業計画について ・実施計画(案)について
[2] 第2回京浜港における海上輸送網整備調査委員会 日 時 平成8年10月14日(月) 14:00〜16:00 場 所 船舶振興ビル10階会議室 出席者 9名 課 題 ・内航フィーダー輸送の検討 ・魅力ある港湾諸方策、内航フィーダー輸送網の整備及び港湾荷役システムの検討 ・報告書目次(案)について
[3] 第3回京浜港における海上輸送網整備調査委員会 日 時 平成9年2月25日(火) 14:00〜16:00 場 所 船舶振興ビル10階会議室 出席者 5名 課 題 ・報告書(案)審議について
■事業の成果
東アジアの国際コンテナ主要港のひとつである京浜港の地位が、近年奪われつつある背景として、アジア経済の急速な発展に伴う国外の東アジア諸港の柔軟な運用体制によるものとされており、我が国の主要港においても国際メインポートとしての地位を確立することが求められている。 本事業は、京浜港の魅力ある国際メインポートとしての地位確立、並びに増大する国内コンテナ輸送の陸上から海上へのモーダルシフトの促進に資することを目的に実施された。 本調査により、京浜港を魅力ある港湾とするための諸方策、京浜港を中心とした内航フィーダー輸送網の整備及び港湾荷役システムの検討において、内航フィーダーバースの整備、海上ルート積み替えシステム、港湾情報システムの整備、各種規制緩和等について具体的な定期を行い、また内航フィーダー輸送網整備に伴う地方港機能の拡充のために、複合機能ターミナルの整備、内航コンテナフィーダーバースの整備を提起することができた。さらに、京浜港と地方港のフィーダー輸送をコスト・時間の両面で効率的に行うための輸送システムのイメージを具体的に示すことができた。 内航フィーダー網の整備は陸上から海上へのモーダルシフトを促進させ、エネルギー消費の節約、排気ガスの減少による環境保線、道路混雑の解消による輸送効率の向上、労働力減少に伴うトラックドライバーの減少への対応など限りないメリットが期待でき、四方を海に囲まれた我が国の新幹輸送として、理想的な輸送手段となることが確認された。 これらの調査結果が具体的に実施されることにより、京浜港が国際メインポートとして地位を確固とすることにつながり、ひいては我が国船舶と海運に関する産業基盤の強化に資するものと期待できる。
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