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6. 視察のまとめ

 

1)研究委員の感想

 

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団長:柴崎 猛

 

昔から百聞は一見にしかずと申します。日本で聞くどんな情報よりも貴重な体験をさせていただきました。このことはおぼろげに進めていた我々の自然保護運動に多くの示唆と指針をさし示してくれました。今、この感謝の気持を表する術を知りませんが、これらを今後、地域で具体的に実践していくことでそれに換えたいと思っています。よろしくお願い申し上げます。

 

フィールド・スタディーズ・カウンシル〔F.S.C.〕

イギリスにおける環境教育の歴史の長さを感じさせるしっかりとしたカリキュラム、人材、組織、建物など、すべて目を見張らせるものばかりであった。特に印象に残ったことはこれらすべてが、政府の援助なしに進められていることだ。

あらゆる点において経営感覚で裏打ちされ、日本のお役所仕事のように、無責任な人事移動による事なかれ主義でなく、一人の人間がその人生をかけて首尾一貫したライフワークとして頑張っているのが印象的であった。物事の成果というものは、まずは熱意ある一人の人間がベースにあることが不可欠なのだ。まさに継続は力なりなのである。

 

グラウンドワーク〔Groundwork〕

今回の研修で予想外に最も参考になったところである。訪問以前は何か役所的な固いイメージが先行していたが、スタッフのすべての人が暖かく親切に我々をもてなしてくれた。この組織は行政、市民そして企業が三位一体となって、地域のいろいろな問題を解決していく組織である。様々な事例を見せていただいたが、それらすべてが、善意の暖かい愛の絆でネットワークしているのだ。多くの貴重な示唆の中でも「負の資産そのものの見方を変えることでプラスの資産に変えることができる」といった言葉は特に印象に残った。

それにつけてもF.S.C.にしろ、グラウンドワークにしろ、一流のエコロジストはなぜこうも心優しい人達なのだろう。自然を相手に弱きものを含め、すべての生き物に愛情をそそいでいると、こういう人格になるのだろうか。

それから、「環境教育はすべての分野の学問を包括している」という言葉も細分化されすぎた日本の学校教育の参考になると思った。いずれにしても私は、このグラウンドワークに大きな可能性を感じた。これまでのトンボ公園はどちらかといえば行政や企業との連携に冷やかな感じであったが、将来はぜひともこのグラウンドワークの手法をつかって一歩前進してみたいものだ。

 

 

 

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