フィールド・スタディーズ・カウンシル(以下、F.S.C.)は、野外での調査研究や体験学習を重視した環境教育活動を展開しているNPOである。その活動の実績は50年以上に及ぶ。
現在は、F.S.C.本部と、活動拠点として英国各地で11ヵ所のフィールド・センターを運営している。これらのフィールド・センターでは、年間約400の環境教育のプログラムが実施されている。また、F.S.C.は学校との連携を大切にしており、学校のカリキュラムに沿った環境教育プログラムの開発を行い、多くの校外学習を受け入れている。
所在地
●F.S.C.本部は、英国第二の都市であるバーミンガム〔Birmingham〕から約60キロ北西に位置するシュルズベリー〔Shrewsbury〕郊外にある。ここには、プレストン・モントフォード・フィールド・センター〔Preston Montford Field Centre(以下、P.M.フィールド・センター)〕があり、F.S.C.本部はその中に置かれている。
●F.S.C.本部及びP.M.フィールドーセンターへは、シュルズベリー駅から車で約10分である。
目標
●F.S.C.の活動目標は、“環境理解をすべての人に〔Environmental Understanding For All〕”とされている。これは「能力の違う様々な人すべてを対象とした環境教育活動の推進」ということを意味しており、年齢的、身体的、経済的といった個々人の能力や条件の違いに関係なく、環境教育を受けることができる機会の提供を目指している。
方針
●F.S.C.では、次のような点に配慮しながら、環境教育活動を推進している。
1]能力やニーズ、興味の違う人々に対応できる幅広い環境教育プログラムの提供を行うこと
2]実際に屋外に出て、自然環境の中で行う調査研究や体験学習を重視すること
3]参加者に自然や環境を「教える」のではなく、まずは自然環境を「楽しい」とか「おもしろい」と感じてもらえるプログラムや指導力を提供すること(そのためには“なぜ”という問いかけを大切にする)
設立年度
●1943年
設立の経緯
●英国では、第1次及び第2次世界大戦の間に、都市近郊で急激な都市化が進み、環境問題が発生した。このため英国政府は、都市近郊の田園風景の保全を目的として、1926年にイングランド田園保存協会〔Council for the Protection of Rural England〕を設立し、1932年には都市農村計画法〔Town and Country Planning Act〕を制定した。また、これらの動きと平行して、個人の意識改革につながる環境教育の必要性が強く認識され始めた。