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第10節 報告徴収及び立入検査

1) 報告の徴収
一般に事業法規においては、監督官庁が事業者に対し、その業務に関する報告を求めることができる旨の規定が置かれているのが通常であるが、本法でも第24条及び第33条において、船舶運航事業者及び船舶貸渡業者等に対し、省令の定める様式により、その業務に関し報告を求めることができることとしている。事業者は、報告を求められたときは、真実かつ正確な報告をしなければならない。ここで、省令とは、海上運送法施行規則、船舶運航事業者等の提出する定期報告書に関する省令及び船会社の事業収支の報告に関する省令をいう。
2) 立入検査
報告徴収だけでは事業の実態を把握するのに不十分であるときは、一般的に監督官庁の立入検査権が認められているところであるが、本法においても第25条に基づき、運輸大臣は、本法の施行を確保するため必要があると認めるときは、その職員に定期航路事業又は旅客不定期航路事業に使用する船舶、事業場等に臨んで、帳簿・書類その他の物件に関し検査をさせ、又は質問をさせることができる。こうした検査又は質問をする職員は、検査員証を携帯し、当該事業者等の請求があったときは、これを提示しなければならない。

第11節 その他の規制

本法は、海上運送事業を営む者に対する規制がそのほとんどを占めているが、次の2つの規定は海上運送事業を営む者以外にも適用されるので、ここで述べておきたい。
1) 旅客の安全を害するおそれのある行為の禁止
何人も、みだりに旅客定期航路事業芳しくは旅客不定期航路事業に使用される船舶の運航のための設備又はその船舶に係る旅客乗降用可動施設の作動装置を操作する等、旅客の安全を害するおそれのある行為をしてはならない(法23の4)。
この規定は、昭和45年に、旅客の一層の安全を図るため、従来の船員法、運送約款等の効力では不十分であるとして追加されたものである。
2) 国際船舶の海外譲渡等の届出等
日本人又は日本法人等が、外国人又は外国法人等に国際船舶(安定的な国際海上輸送の

 

 

 

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