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の損失を補償することとし、こうした損失補償が伴う場合には、補償金の予算の範囲内に限り命令ができることとした(法27-?、法26-?)。
航海命令による損失補償額は、当該船舶運航事業者が、その航海を行ったことにより通常生ずべき損失及びその命令を受けなかったならば、通常得らるべき利益が得られなかったことによる損失の額である(法27-?)。この補償の額の決定は運輸審議会にはからねばならず、その他その額の決定に関して不服がある場合の手続等についても詳細に法定されている(法27-?〜?、則25)。
なお、航海命令を受けて航海を行う場合には、免許等の手続は一切要しないと解される。

第7節 事業の譲渡等

1) 事業の護波及び譲受
? 一般旅客定期航路事業の譲渡及び譲受は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない(法18-?)。運輸大臣は、この認可に関する処分をしようとするときは、運輸審議会にはかり、その意見を聞かなければならない(法18-?)。
一般旅客定期航路事業は、免許制によりその経営主体の資格要件について厳しく規制されているので、当該事業の譲渡及び譲受をも認可事項とし、認可のあった場合以外は、その譲渡及び譲受は効力を生じないとしたものである。事業を譲り受けた者は、免許に基づく権利義務を承継することとなる。
? 譲渡及び譲受の手続は、譲渡人及び譲受人の連署による一般旅客定期航路事業譲渡譲受認可申請書に譲渡譲受契約書、譲渡譲受価格説明書等を添付して所轄地方運輸局長(航路の拠点を管轄する地方運輸局長)に、又は所轄地方運輸局長を経由して運輸大臣に提出することとなっている(則16)。
? 譲渡及び譲受があるというためには、事業の実体が移転しなければならない。事業の実体は、事業用施設とその従業員であるから、これらの移転がない場合には譲渡及び譲受の認可の手続でなく、事業の廃止及び新規免許の手続をとるべきと考えられる。
なお、本法上の免許が航路ごとに与えられていることからして、航路の一部を譲渡することは認められず、一部航路の廃止及び新規免許の手続が必要と思われる。
また、本条に関し、商法第25条に営業譲渡人の競業禁止の規定があること及び独占禁止法第16条で準用されている同法第15条の規定に基づき公正取引委員会への届出が別途必要なことに注意されたい。

 

 

 

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