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事業に共通する義務である。
運送の拒絶が認められるのは、(1)当該運送が法令の規定、公の秩序又は善良な風俗に反するとき(例:定員オーバー)、(2)天災その他やむを得ない事由による運送上の支障があるとき、(3)当該運送が運送約款に適合しないとき(例:生動物の運送)に限られている。
3) 運送の順序
一般旅客定期航路事業者は、申込みの順序により旅客、手荷物及び小荷物並びに自動車航送をしなければならない(法13-?)。
ただし、特定の場合には、運送の申込の順序によらずに運送してもよい。それは、運輸大臣から、災害の救助その他公共の安全を維持するため、航海命令(法26-?)が下されたとき、その他正当な事由があるときである。正当な事由とは、急病人を運送する場合とか、腐敗しやすい荷物を運送する場合等が考えられる。
4) 差別的取扱の禁止
一般旅客定期航路事業者、旅客不定期航路事業者及び自動車航送貨物定期航路事業者は、特定の利用者について、不当な差別的取扱をしてはならない(法13-?、法23の2)。これは、差別的取扱を直接に禁止するのではなく、その差別が不当である場合に、それを禁止する規定である。
しかるに、一般の船舶運航事業者に対しても、特定の人、地域又は運送の方法に対して、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えることは禁止されている(法30-?)ので、これとの関係が問題となるが、本法第13条第2項違反については罰則の規定があることから、一般旅客定期航路事業者等の取り扱う旅客の運送等については特に強く規制していることが明らかである。
5) 事業計画に定める運航の確保
一般旅客定期航路事業者は、天災その他やむを得ない事由のある場合のほか、事業計画に定める運航を怠ってはならない(法14-?)。これは、一般旅客定期航路事業者が、一般大衆の足として欠くべからざる存在であり、ある種の独占性を与えられている反面に負わされている義務である。
どのような事由が、天災その他やむを得ない事由に当たるのかは、具体的に判断せざるを得ないが、例えば使用船が急に故障して代船の手配が間に合わず欠航する場合等がこれに当たると考えられる。本条の違反があった場合には、罰則が適用されるのではなく、次に述べる運航の確保命令が発せられる。

 

 

 

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