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第2章 海上運送事業に対する規制等

本章では、免許又は許可制がとられている一般旅客定期航路事業、特定旅客定期航路事業、旅客不定期航路事業及び自動車航送貨物定期航路事業を中心に海上運送事業に関する主な規制内容を述べることとしたい。

第1節 免許及び許可

1) 免許及び許可
? 一般旅客定期航路事業の開始は、免許制にかからしめられているが(法3-?)、それは不特定多数の乗客を一定のスケジュールで運送するという同事業の公益的性格を勘案して、免許申請者が行おうとする事業について、輸送力と輸送需要のバランス、輸送の安全性、利用者の利便性等を審査しようという趣旨である。
特定旅客定期航路事業、旅客不定期航路事業及び自動車航送貨物定期航路事業の開始についても、許可を要することとしている(法19の3-?、法21-?)。
特定旅客定期航路事業は、当初は一般旅客定期航路事業と区別されず、旅客定期航路事業として規定されていたが、特定の者の需要に応じ、特定の範囲の人の運送をする旅客定期航路事業については、規制を緩和するのが実情に合うため、区別を設け、主として安全性の確保という観点から許可制とされたものである(昭和30年改正)。
旅客不定期航路事業は、前述のとおり一定の航路に旅客船を就航させて行う事業であること等からも明らかなように、旅客定期航路事業に類似した事業であり、従来、同事業の脱法行為として行われ、輸送秩序を混乱させていた経緯があったため、主として旅客輸送需給のバランス及び輸送の安全を確保するため許可制とされたものである(昭和30年改正)。
なお、旅客不定期航路事業のうち遊覧旅客不定期航路事業については、生活航路として用いられる一般旅客定期航路事業と競合することがないと考えられることから、事業者の参入を活性化し、観光振興を図るため、許可基準から旅客輸送需給バランスの審査が除外された(平成7年改正)。
自動車航送貨物定期航路事業についても、旅客船によって行われる自動車航送と、貨物船によって行われるそれとの間の過当競争(旅客定員12人でも相当の自動車航送の能力を持つ)を未然に避けるために、主として自動車航送の需給バランスを図るため自動車航送貨物定期航路事業と名付けて許可制がとられたものである(昭和40年改正)。
? 上記事業の開始に係る免許又は許可は規定上運輪大臣権限とされているが、本法第45

 

 

 

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