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3.難民及び難民申請者への相談援助

インドシナ難民以外に、日本ではいわゆる難民条約に基づく難民及び難民認定を申請している様々な国の人々が存在する。近年では、アジア、アフリカ諸国からの人々が多く、ISSJはそれらの人々をインドシナ難民と区別して個別難民と呼び、彼らの生活問題の相談援興を行っている。以前はUNHCRの助成を受け、委託事業として行われていたが昨年度で助成は終了した。しかし彼らに対する相談援助を打ち切ることはできず、今年度もISSJの独自の事業として引き続き行われている。
法務省による難民認定の調査期間は長期にわたっているので、その間彼らが日本で生活していくには多くの困難に直面する。特に申請者の場合は日本での在留資格が不安定であるという根本的な問題が、彼らの生活に関わる様々な問題をさらに引き起こす要因となっている。通常、難民申請者は短期ビザ(90日)を何度も更新しながら、日本に滞在しているが、更新を怠りすでに不法滞在となっている者も少なくない。従って彼らの在留資格では、例えば一般的に国民健康保険には加入できず、また不法滞在であれば公共職業安定所の利用が非常に困難になる。多くの公共機関が提供するサービスから除外されるので、援助する私たちも関係機関、民間の機関、企業、医療機関、個人の善意などと協力を得ながら問題の解決にあたっている。いわば既存の日本のシステムでは一様に解決することが困難であり、しばしば例外的な措置を講じるよう様々な機関、人々にお願いすることもある。
とりわけ私たちの場合は、以前にインドシナ難民の定住のために相談員として配置されたISSJボランティアワーカーを活用し、ともに連携、協力しながら対応できることが大きな利点となっている。今後いっそうソーシャルアクションを含めた援助のあり方の必要性を痛感している。
さらに当然のことながら長期にわたる不安定な身分や言葉や生活習慣の違いは個別難民の精神的なストレスを引き起こしている。私たちはそのような彼らの心の支えとなりながら精神的にも継続的にサポートしていく役割をも担っている。
今年度主に私たちが関わったケースは6件である。国籍の内訳は、スーダン1、イラン3、ソマリア1、スリランカ1、である。以下にケース事例を示すが、難民という身分が他のものに知れることは本人を危険にさらすことにもなりかねないので、それを考慮し詳細を紹介することが困難であることをつけ加えておく。

 

 

 

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