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1996年度事業報告

社会福祉法人日本国際社会事業団
(INTERNATIONAL SOCIAL SERVICE JAPAN)
この報告書は1996年4月1日から1997年3月31日までの1年間に行われた社会福祉法人日本国際社会事業団(英語名INTERNATIONAL SOCIAL SERVICE JAPAN.以下ISSJと称す)の事業報告です。
ISSJは第二次世界大戦後の戦災孤児や国際児(混血児)救済のために、1952年(昭和27年)に発足した日米孤児救済合同委員会を前身とし、1959年(昭和34年)に厚生省から第二種社会福祉事業を行う社会福祉法人の認可を受け、社会福祉法人日本国際社会事業団の名称で設立しました。同時に世界的な社会福祉機関であり、国連の諮問機関であるISS(International Social Service)の世界的なネットワークの一員として今日まで、二か国以上に関わる社会福祉、特に児童とその家族の持つ問題への相談援助を行ってきました。
当該年度におけるISSJの主な活動は、国際養子縁組、国際里親養護等の相談援助、無国籍児や未就籍児の国籍取得や出生証明書の取得、国際結婚・離婚に伴うカウンセリング、難民や国際児(混血児)の日本社会における生活適応、二か国以上に関わる行方不明者探し、国際ソーシャルワーカーの人材育成、国際養子縁組研究会、発展途上国の子どもとその家族への福祉増進援助等でした。
国際養子縁組はあくまでも子どもの保護を目的とした援助でなければなりません。そのためには養子となる子どもの人権や福祉を十分調査し、慎重に行う必要があります。しかし、残念ながらわが国では法規制がないため、十分な調査が行われなかったり、子どもが欲しいと希望する人のために産婦人科医に頼んで手探しが行われたり、高額な金銭のやり取りの中で養子に出される子どもがおり、養親が斡旋業者に支払う金額は子ども一人につき600万円とも800万円ともいわれています。そのため海外の養子縁組斡旋事業所や公的機関などからそうしたケースの調査依頼や相談がISSJに寄せられています。わが国においては、国際養子縁組は子どもの保護なので厚生省だ、海外に出て行くので外務省だ、法的な手続きなので法務省だと政府機関のどこが扱うのかさえも明確になっておりません。子どもを守るために一日も早いハーグ条約の批准と国際養子縁組法の制定が望まれます。

 

 

 

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