
しかし、輸送人員の滅少等バス事業をとりまく環境は必ずしも良好とはいえない状況にあり、バス輸送サービスの改善・向上等に資する施策の展開による利用者利便の向上や利用促進・喚起が急務となっている。 そのため、バスを利用する際のゲートウェイともいえるバス停の質的向上を図ることは利用者利便や利用促進に資することでも重要であり、その方策として誰もが使いやすいバス停環境の創出が急務となる。 (2)モデルプランの検討対象の選定 バス停開発・整備に係る要件を踏まえると、長期的な視野では全てのバス停に対して“やさしさ”を付与し、バス停の高質化を図ることが必要となるが、現実的には物理的な要因や設備投資等の解決すべき課題も多く、対応が困難な状況にあるといえる。 したがって、モデルプランの検討にあたっては、まず、数多く設置されているバス停の中から人にやさしいバス停の開発・整備の対象とするバス停を抽出する必要がある。 そこで、対象とするバス停を抽出する際には、地域やバス路線の特性等を考慮しつつ、乗降人員数の多いバス停から優先的に開発・整備を推進するなどの対応が重要となり、優先性の高いバス停をその立地面から例示すると、次のとおりまとめられる。 ●交通結節面:○鉄道駅やバスターミナル等の交通結節地に立地するバス停 ○他のバス路線との乗換地に立地するバス停 ●施設立地面:○公共公益施設、医療・福祉施設、商業施設(大規模小売店舗、商店街等)、住宅団地等の交通発集地および当該施設の最寄りに立地するバス停 ●その他:○当該バス路線の起終点に立地するバス停 等 さらに、上屋の設置に関しては、道路構造令に鑑み、 ●歩道幅員3m以上の場合 ●法敷に設置可能な場合 ●バス停背後地が活用可能であり、道路管理上も支障がない場合 において、上屋の設置とこれに係る“やさしさ”の付与を試みる。 なお、「バス停標識」および「バス停上屋」に係る整備レベルと立地条件面との対応については、表V-1および2に示すとおり想定することができる。しかし、この整備レベルは“やさしさ”という質的・機能的観点より設定したものであり、実際に整備を行うとした場合、その立地条件に関しては地域特性・交通特性、道路構造および背後地等非道路空間利活用の可能性等に鑑みつつ、整備優先性や地域・路線における統一性等に考慮していくことが肝要となるとともに、事業者や道路管理者等の関係者間での協議・調整により、設置条件および整備レベルの適用範囲も広範かつ多岐に及ぶことも推察される。
前ページ 目次へ 次ページ
|

|