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【5月8日 マンハイム】

 

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5月8日、前夜のアルテオーバー(フランクフルト)での公演の余韻を楽しみながらの朝食をとり、少し駅前を歩いて、ゲーテの家を探し、とても大きなお屋敷なのに驚いて…昼食。
2時発のバスに乗り、一路今夜のコンサート地、マンハイムヘ全員元気に出発。
マンハイムは昨夜に続き、歴史のあるホール、ローゼンガルテンでの演奏でした。約1時間半かけての到着後、相変わらずセッティングの滞っている舞台を横目に近くの美術館へ。丁度パウル・クレー展をやっていて、とても面白い作品をたっぷり観て…とてもうれしくなりました。
夜8時からのコンサートは、べ一トーヴェンの交響曲第1番から始まり、超絶ソリストのガヴリーロフとのコンチェルト、そしてファリャの三角帽子。ヨーロッパ入りしてから10回目のステージはマンハイムの温かい拍手を受け、笑顔で終演。
さて、ビールのおいしいドイツとは今夜でお別れ。明日は国境を越え、オーストリアヘ行きます。たくさんの拍手へ日本と変わらぬ御礼のおじぎをしながら、私の脳裏はもう明日のことでいっぱい…これから夜0時頃ホテルに到着して…寝て…明日は7:45出発で…あ、そうそう、明日はスペイン綺想曲があるんだっけ、大変だ…いつビール飲もう…?!
(梅津千恵子 パーカッション)

 

【5月9日 ヴェルス】

 

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5月9日は今回のツアーの中でも特にハードなスケジュールでした。朝7:45にフランクフルトのホテルを発ち、列車「ヨハン・シュトラウス」号で国境を越えてオーストリアのヴェルスヘ。そしてコンサート終了後、約1時間バスに揺られて宿泊地のリンツヘという移動でした。昼食に出たおにぎり弁当で精神力をつないだといった感じです。ドイツからオーストリアヘ入ってみると、街の外観などはほとんど変わらない感じですが、何となく落ち着いたような、静かな印象を受けます。フランクフルトという都会からヴェルスという田舎町のような所へ来たせいもあるでしょうが、ドイツの田舎町に比べてみても、やはり違う国に来たんだという感じはします。さて、コンサートの方ですが、ここでの演奏会場はたいへん狭く、今までやってきた編成が乗り切れないほどステージも狭い。何とか工夫をして詰め込んだといった状態になってしまいました。しかし皆さん、いざ本番になると長距離移動の疲れにもめげずに、いつもの響きを出していたと思います。
(星野究 トランペット)

 

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「ピーピーピー」と目覚ましの音。さすがに今日は眠い!(昨日公演が終わってホテルについたのが12時過ぎてたような…)ホテルを7時45分に出て、フランクフルト駅発8時15分の列車に乗るのである。ホテルを出る時に昼食のおにぎり弁当を受け取り、トランクをバスに詰め込んでいざ駅へ!
そしてやってきた列車は「Johamm Strauss号」と名前がついているだけあって、2等車でもかなりキレイ。最初は皆おとなしく寝ていたのですが、そのうちあっちうろうろ、こっちうろうろ…やっぱり列車は歩き回れるから、その点ではたまにはいいかな?などと思いました。
さて、おいしいおにぎり弁当を食べ終わったころ、列車はドイツからオーストリアヘと国境を越え、本日の公演地ヴェルスに到着。かなり雨が降っていて、ホールは駅から近いそうなのですが、バスが3台待っていてくれました。(傘をトランクの中へ入れたままだったので助かった!)
ホールについて、まず舞台をのぞいてみると、な、なんとちっちゃくてかわいいホールなのでしょう!ここは「コンサートホール」というより「舞台」で、小さいけれどきちんとオペラ劇場の雰囲気が漂っているところです。ただ、ここでファリャを演奏しよう!というのだから、ステージマネージャーたちは大変そうでした。(実際舞台の上は、なんとか詰め込んで並べたぞ、という感じでギュウギュウです)
さあ、GPも終わり、いよいよ8時本番!今日はオール・スペインというプログラムで、客席の雰囲気も温かく、コンサートを楽しんでいる感じで本日も無事公演を終えることができました。
宿泊地リンツのホテルにつくと、ロビーで日本茶のサービスがあり、ホッとひといき。部屋もきれいで広く、ゆっくりできないのが残念ですが…まったく今日一日は本当に長かった。明日も朝早く出発なのですぐに寝よう…と思いつつ、インスタントラーメンを作るのでありました。
(平塚美保 クラリネット)

 

【5月10日 クラーゲンフルト】

 

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今回の訪問先で一番南に位置するクラーゲンフルトは緑豊かな、明るく賑やかな、それでいて落ち着きのある美しい街でした。演奏会場のコンツェルトハウスは800人位の客席数でこぢんまりとした、天井のシャンデリアの華やかなホールでした。
今回の旅行日程で最も大変な4日連続の演奏会の第4夜だったためか、楽員にも疲れが見えましたが、そこはいつも日本全国の旅行で鍛えられている日本フィル、気迫のこもった演奏で見事に成功させました。ソリストの渡辺玲子さんも鳴り止まぬ拍手に応えてアンコールを1曲披露し、その完壁な技巧に観客は釘付けにされていました。
興奮覚めやらぬ観客同様の私たち楽員も、明日はウィーンヘの移動日という解放感に浸りながら、夜が更けるまでジョッキを傾けていました。
(増田知子 ヴァイオリン)

 

 

 

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