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【5月7日 フランクフルト】

 

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今、フランクフルトのホテルから、会場へ移動するバスの中です。私たち楽員の休日の過ごし方を書こうと思っています。昨日5月6日はバスでフランクフルトヘ約6時間かけて移動する日でした。仕事はOFFではありましたが、ほとんどついてから、夕食にちょっと出ただけでした。良さそうな中華料理店へ仲間で4人でいきました。その時は日本国のメニューまであって、他の団体の日本人も何人か来ていましたが、少し不便な方が冒険するにはいいかなとも思ったりしました。
またその前にミュンヘンでの休日もありましたが、ちょうどその日はメーデーだったので、みごとに何も店はやってなくて、レストランのみでした。市庁舎の前の広場には、メーデーの演説や、集まって来た人々を整理する警察などでごった返していました。地図も持たずに、ホテルから歩いてきた私たちは、あっち行ったり、こっちへ行ったり。気の向くままに進んでいると、大きな公園に着きました。ベンチに坐って、しばらく休み。朝はすずしいと思って来てみたものの、昼を過ぎたころには、まるで夏のように暑くなっていました。上着を思わず脱ぎ、強い日差しの中でもうろうとしていました。するとそこへ警官2人組が歩いているのを少し離れた所から見つけると、自分達がどこにいるのか訪ねました。するとやせている方の警官が、地図を取り、顔を上げた時、初めてこの人が女性だとわかりびっくりしました。そして自分達の居場所がわかると、急におなかがすいてきて、またも歩き始めました。
さて、何を食べようか?
「おいしければボクは何だっていいよ」といつも口癖のように言っている主人を連れて(私が前を歩いていることが多い)。「何か、気のきいた所はないかな一」と探していると、狭い奥まった横丁に、こぎれいなドイツ料理屋を見つけました。なかなかグッドでした。
さて、食事を終えて、また少し散歩をして駅まで歩き、そこから2つ目がホテルのある最寄りの駅でした。ホテルに着いたのが3時ころ。
そうそう、今日は5時にミュンヘンから車で2.5時間ほど行った所のロイトリンゲンに住んでいる友人が、3歳のお嬢ちゃんと、生後6ヵ月になる赤ちゃんを連れて家族4人でホテルに来てくれることになっているのでした。
あと2時間ある、と思って、私はパーッと着替えて、寝る準備をしてベッドであっと言う間に寝ていたそうです。主人(ob.中川)は、リードを作らなきゃと言って、ピーッ、ピーッとしながら削っていたようです。
いつのまにか5:00になって、部屋に電話が鳴りました。はっと起きると、主人はそのままリードを作っていて、休む間もなく、私とともに友人を迎えにロビーに降りました。すると赤ちゃんを連れた友人家族がにこにこ待っていました。
ほんとに久しぶりに会ったので、嬉しかったです。また、赤ちゃんたちのおむつを替えたいということだったので、私たちの部屋へ4人を招いて、おむつを替えたり、なかなか楽しかったです。その後、彼らの車に乗って町まで出て、ミュンヘンの豚足焼のおいしい店に連れていってもらいました。赤ちゃんも一緒なのに、店の人たちは、いやな顔ひとつせずに、楽しくあやしたり、泣いているとおじいさん(店員)が出てきて、楽器を弾くまねをしたり、おどけてみたり、私たちまでたのしんでしまいました。
明日からの仕事もまた元気良く始められそうな、楽しい一日でした。
私たちにとってはこんな休日でしたが、ハードスケジュールのあとの、ヨーロッパ2日目の休日を、みんなそれぞれに自由に楽しんで過ごしたと思います。良い仕事をするには、仕事以外の時間が、また本当に大事なんだな、と思いました。
(藤牧久美子 ヴィオラ)

 

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日本のオーケストラが来独しても演奏回数の少ないと言われるアルテオーバーでのコンサートが最上階まで満席だったのには、正直言ってびっくりした。客層も上品で華やかな雰囲気の中、ミュンヘン・ベルリンに並んで耳の肥えた聴衆の前での演奏は、やはり緊張する。べートーヴェンのシンフオニーのピリピリしたゲネプロのあと、夜8時の本番まで2時間の休憩。外の空気を吸いにホールの周りをぶらぶらし、それぞれレストランやカフェで食事をする(日本と異なり、ヨーロッパの陽が落ちるのは遅く、9時過ぎまで明るい)。ドイツでも屈指のホールであるアルテオーバーを正面から見てわくわくする。
今日のソリストはガヴリーロフで、パガニーニ・ラプソディ。6年ほど前に日本で共演した頃とは少し感じが変わったが、本質的に音楽最優先の彼の強烈な個性は聴衆に確実に伝わっているようだ。
日本フィルも三角帽子で広上さんとともに奮闘するが、果たして満足のいく手応えを得られたのだろうか…大きな課題を与えられたようで、日本に帰ってから、自分もじっくり考え直してみたい。
(松本優子 ヴァイオリン)

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