提案要旨 低年齢児保育と保健活動
大林一彦(大阪小児科医会副会長) 社会情勢の変化に伴い低年齢児が保育所で過ごすことが多くなっている。これは女性の社会進出の多様化、社会的な要望に伴い止むを得ないことなのであろうが、乳児本人にとっては望ましいことではないのかもしれない。ここでは感染について、心理面、発達面を問題点として話題提供をしたい。 1.感染について 感染経路としては、経口感染、接触感染、飛沫感染などがあげられる。 感染源としては、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌などがある。 1歳未満の乳児は、感染に対して無防備とまでは言えないが抵抗力が弱い。 乳児どうしの感染ももちろんであるが、続いて看護婦があげられ、その次に保母の手が続くものと思われる。おむつを代えた後の手、とびひの子どもを触った手などは十分注意する必要がある。集団保育の場合、介護者の手洗いを十分に行うことで感染を防ぐことにかなりの効果があると思われる。 2.心理、発達の面 低年齢からの保育、延長保育などの増加に伴い生活リズムの乱れ、睡眠時間の不足、言語発達の遅れなどを心配する声もある。最も身近な存在である母親と接触する時間が少ないということから、心理的な満足感の不足が問題となる。母親と離れて過ごす時間が長くなればなるほど、集団保育の場も社会的に十分満足できる環境を整えることが必要と思われる。「三つ子の魂百まで」の諺どうり子どもの性格はそれぞれ個性があり、この時期の生活環境によって影響を受けることも多く、3歳迄の子どもの心は大切に見守ることが重要であると考える。
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