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おわりに

 

この報告書を読んで、いったいどのようにして障害のある子どもと家族に対する地域支援の活動を展開しようとしたのかについておぼろげなイメージをっくっていただけたのではないかと思う。
青森県における地域支援の活動は宿泊講習を核にして3年間実施された。障害のある子どもと両親が参加し、合宿してじっくりと子どもとっき合う。初対面のスタッフに子どもとの生活のある部分をさらけ出してみてもらう。同時にスタッフにもたっぷりと子どもと係わってもらう。その上で子育て上の相談を持ちかける、そしてそれにスタッフが応える。必ずしも答えのでる相談ばかりではない。両親はそれでも悩みを語り、生活の様子を知ってもらう。また、両親はある時間スタッフにわが子を預けて、平行して開催された講義やワークショップに参加する。その講習会には県内各地から、障害のある子どもの育て方、地域での家族支援のあり方、周辺地域の関連施設との連携の持ち方等の研修を目的に教員、保健婦、保母が参加している。両親は、彼らと、また医療、福祉、保健、行政の專門家と意見を交わす。合宿して夜遅くまで語り合える場を利用して参加者は相互に知り合い、仲間を作っていく。こんな感じの講習会であった。講習会に参加して、親は、自分と同じではないかも知れないがやはり子育てに苦労してきた人、苦労している人がいることを知り、そのような人と話をすることで気持ちが楽になったかも知れない。親同士だけでなく地域に親近感を持って相談できる人が意外と多くいるのだと感じたかもしれない。普段、障害のある子どもと接していて多少不安を感じていた教員や保母もまた同様であろう。
障害のある子どもと家族に対する地域支援のネットワークづくりは、関係する他機関の人々と、思想や技術、さらに思いやる心を共有していく作業であると思われるが、これは一朝一夕にできることではない。本研究を進め、講習会等を企画できたその基礎に既に長い年月をかけてのネットワーク形成の地道な活動が続いてきたことを忘れてはならない。その上での3年間の実践的研究活動は、青森県における地域支援の体制の更なる発展に大きな貢献をしたと同時に、他の地域で今後取り組む上で多くの情報を提供したものと確信する。
(鷲尾純一)

 

 

 

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