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(4)成果と検討課題
本講習会の目的の1つは、地域支援を行うにあたり障害児自身や家族が本当に望んでいる真のニーズは何であるのかを見いだすことであった。2泊3日の日程は欲張りすぎるほど多くのメニューがあり、その中で必要とされているものを探し出せばよいはずであったが、それぞれの要求に合わせて起こす行動は異なっていたのが現実だった。子どもに付いて遊ぶ親もいれば、親同士で話し合っている者、講義を聞いている親、先生を捕まえて話しをしている親。ここで言える事は、親のニーズは子どもの障害状況や発達段階に左右されながら多岐にわたり、その時その時で刻一刻と変化しているという事であろう。そのニーズに対応していくためには、なかなか一機関や一個人だけではとても対処できるものではない。では真のニーズとは何かと問い直されると漠然としているように思えるが、宿泊講習会の期間内に親が取った行動こそがその答であり、それだけ多種多様なニーズがあるという事を現実として受けとめられたことが一般受講者やスタッフとして参加した、地域で関わりを持つ者の収穫だったように思う。
このことは同時に地域の中にいる関係者の間に連携の必要性を肌で感じさせた。夜の情報交換会では、地域や職種を超えた話し合いが親も含め日付が変わる頃まで続いていることもあった。これが実は本講習会の2つ目の目的でもある機関間連携であったろう。参加者すべての者に100%満足のいく答はなかったかもしれないが、一応当初の目的は達せられたのではないかと思う。それ以上に一緒に生活していく中から、支援をする側、受ける側といった関係ではなく、全ての人で社会を構成し共に支え合っているという意識を持てたことが一番大きな成果ではなかったろうか。
今後はこのような親のレスパイトも含めた各種のサービスが地域の中で実践されるのが理想であるが、講習会参加者が個人レベルで地域支援の重要性を理解してくれていたとしても組織も含め固定させていくにはどのようにしたらよいかが課題となろう。情報の流れ方も体制作りがうまくなされていないと、結局親子の負担を強いる事になるだろうし機関もよりよく機能できなくなる。また今回は未就学児に対象を限定して行ったためか特殊学級の教員の参加が少なかったのが気になった。また医療機関や教育・福祉行政にも積極的な姿勢を望む声が多かった。

 

2.地域巡回訪問による家族支援および関係機関との連携
 
工藤孝彦(やまぶき園)

 

(1)巡回訪問の目的

 

宿泊による講習会を受講した者(親子及び障害幼児保育や療育に携わる、幼稚園、保育所、保健婦)の中で、引き続き何らかの支援・援助を希望する者、及びモデル地域に居住し、教育・福祉のケアが比較的受けにくい状況にある者に対して、その地域を訪問して、必要な援助、情報提供を行うことを目的とした。

 

 

 

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