
(2)我が国における障害児の家族支援とネットワーク
鷲尾 純一(国立特殊教育総合研究所)
1)なぜ家族支援か
障害が発見される。それは多くの場合予期せぬできごとである。障害は、一過性のものではなく長く続くものである。そして障害のある子どもの養育は通常は両親あるいは家族が受け持たなければならない。しかしながら、障害を受け入れる体制は家族の心理面においても、養育の具体的、技術的な面においてもすぐには整わない。そして子どもが成長するさまざまな段階で新たな対応が迫られる。したがって、これらの面の援助は子ども自身への直接的な療育ないし指導と平行して、継続して行われる必要がある。
2)家族支援の内容
障害のある子どもの教育・療育体制の整備とともに家族支援の体制についても目が向けられてきている。その内容に関しては、例えば心身障害児教育財団で発行している「通級による障害児指導ガイドブック」(1996)1)の中では、親や家族への援助・情報提供の項目として、?@親の心理的適応に関すること、?A親の種々の訴えやニーズに対する対応の仕方、?B子どもの障害の状態についての理解の図り方、?C親同士の支え合いの場や条件整備に関すること、?D機関・施設等の利用に関する情報提供などが挙げられている(具体的方法についてはヒントカードとして提供されている)。
星名(1996)2)は、親自身の安定と生活向上のために、障害児を持つ家庭生活、障害児を含めた地域社会、生活の向上と生き甲斐への援助が必要であることを強調している。家族支援の目的は障害のある子どもの発達や生活がより高いレベルに達することをねらいとするばかりではなく、子どもの家族が地域の中で生き生きと生活ができることをサポートするものでなければならない。地域社会で障害のある人々との交流の機会を広げる活動などはこうした点からも家族援助の重要な項目の一つに数えあげられるべきものである。平成7年12月に総理府障害者施策対策推進本部から発表された「障害者プラン−ノーマライゼーション7か年戦略−」(1995)3)では、障害のある人々が地域で共に生活をすることを念頭において、そのためには「広く国民を対象に障害および障害者についての理解を深めること」、「心のバリアを取り除く」ことが重要であることを指摘して、「障害者への理解を深めるための教育の推進」を具体的な施策として掲げている。
3)障害および障害のある人々をとりまく国民の視線
従来ややもすると、障害のある子ども、あるいはその家族は、悩みを抱えているもの、援助を受ける側のもの、同情される対象、というイメージで見られてきたのではないだろうか。マスコミで取り上げられる障害のある児・者とその家族も同様であった。しかしながら、近年変化が感じられる。手話を使う聾の女性や男性が主人公となった「星の金貨」(日本テレビ95年、96年放映)、「愛していると言ってくれ」(TBS95年放映)や、知的障害のある女性が主人公となった「ピュア」(フジテレビ96年
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