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灯標・灯浮標の種類と利用方法

海上標識の浮標式(Buoyage・System)
灯光・形象・彩色・音響・電波等の手段により、港・海峡・その他沿岸水城を航行する船舶の指標とするための、灯台・灯標・灯浮標・霧信号所・無線方位信号所、その他の施設を「航路標識」といいます。
航路標識の中の「光波標識」いわゆる光による標識は、灯台のように防波堤、岬、島の頂き等陸上に設置されたものと、海上に設置されたものに分けることができます。
ここでは、プレジャーボートの運航に携わる方に関係の深い海上標識について述べてみたいと思います。
釈迦に説法かとも思いますが、復習の意味でもう一度お読みいただければ幸いです。
灯浮標・浮標(いわゆるブイ)、灯標等船舶が航行する航路や水域に接近して設置された標識は、危険な障害物や航路を直接的に標示するため、これを利用される航海者の方々は、そのブイ等が標示している意味を正確にかつ速やかに判断する必要があります。
海上標識の場合、航海者が標識の誤った判断をされると、船舶とブイ等の位置が接近しているだけに、避航の余裕もなく重大な海難に結びつく恐れがあります、
ブイ等の役割は、大きく分けて二つあって、一つは「航路または可航水域を示す」もので、もう一つは「危険物の存在を知らせる」ものであります。
前者は、ブイ等の側を航行しろということですし、後者は、この近くに寄るなということですから、それを混同したら大変なことになります。
そこで、航海者が容易に識別、判断できるよう、それぞれの標識について、他と区別するための決まり、一定のルールが作られており、これが「浮標式」と呼ばれるものであります。
この浮標式は、約一六年前まで世界各国ばらばらで、外航海運の発展に伴い単に国内だけでなく国際的に統一しなければならないという要請が生じるのは当然でありました、古くは一九三六年(昭和十一年)ジュネーブにおいて開催された国際連盟の交通部会において、「海上浮標式の国際的統一に関する協定」として一応の成立をみたのでありますが、不幸にも協定が発効しないうちに第二次世界大戦が勃発し折角の統一機運も水泡に帰してしまいました。
戦後、一九七一年一月に英仏海峡でパナマ船籍の「テクサコ・カビリアン」というタンカーがバーンバンク付近に沈没し、放ちに標識が設置されたにかかわらず、数時間後にその標識を視認した当時の西ドイツの貨物船「ブランデンブルク」が沈船に乗リ上げ沈没しました。
その後、周辺に多数の灯浮標と灯船まで配備したにもかかわらず、数週間後更にギリシャの貨物船「ニキ」が乗り上げ沈没し、この事故で多くの財産と五一名の尊い人命が失われたといいます。
この原因は、浮標式が国により異なっていたことにありました。
このような事があって、やっと一九八○年(昭和五五年十一月)わが同が主催した東京におけるIALA(インターナショナル・アソシエーション・オブ・ライトハウス・オウンリティー)総会で、懸案であった浮標式の国際的統一が実現いたしました。
前置きが長くなりましたが、浮標式の種類別に、主な内容を復習してみましょう。
海上標識は、側面標識(左舷標識、右舷標識)孤立障害標識、方位標識、安全水域標識及び特殊標識の五種類に分けられます。(その他に例外的なものとして、海上交通安全法の規定による横断禁止、速力制限の区間標示、潮流の流向を標示する等の特定標識があります。)
海上標識の形状は、塔形、やぐら形又は柱形をしており、判別の要素として、昼間は標識の塗り色、頭標(トップマーク)の形・塗り色が

 

 

 

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