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ごあいさつ

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劇団たんぽぽ 代表 吉岡敏晴

今から五十年のむかし、あの敗戦の混乱期に長野県の篠ノ升町(現在は長野市)で、故小百合葉子と山下保が中心になって、「信濃芸術座」から「劇団たんぽぽ」に改組されました。
その後、幾多の試練を経て、今や劇団員五十人有余を擁しています。そしてこの度、全国を巡演し、創立五十周年の記念行事を企図するに至りました。
これはひとえに、”子どもたちに夢を”という私たちの願いを支えて下さった地域の方々や、子どもたちの大きな拍手のおかげと考えています。
また、児童・青少年演劇の専門劇団として、わが国唯一の社団法人教育演劇研究協会を許可されて四十周年を迎え、公益事業としては、「教師のための朗読勉強会」や「学芸会のアドバイス」など、演劇と教育とのかかわりを研究しています。
朗読については、小百合葉子の師坪内逍遥博士も新しい国劇の基礎として重要視され、博士ご自身の朗々たる声が残されています。小百合葉子もまた朗読が得意で、ラジオなどよく出演したものです。
さて、法人設立のことについては話がぐんとさかのぼります。
小百合の古くからの演劇仲間から、コンクールに参加するようお誘いがあったときのことです。小百合は
「私たちは地方の劇団として地方で頑張っているのですから、可能なら浜松から参加したい」
と申し入れたのでした。これが受け入れられ、審査員が浜松に来られての審査となりました。その中に当時、文部省社会教育局長寺中作雄氏がおられたことが縁で社団法人格を許可されたのです。ちなみに寺中氏は、国立競技場、国立劇場の初代理事長で絵画をよくされる方で、大変「たんぽぽ」を可愛いがってくださいました。
少しずつ行政による文化助成もされるようになってきたとはいえ、まだまだ日本の現状は淋しいかぎりです。私たち「劇団たんぽぽ」全員、新たな一歩を踏み出します。どうぞ、これまで以上のこ後援のほどをよろしくおねがいいたします。
「児童劇は大人の支えがなければ成立しない…。坪内逍遥」

 

 

 

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