けて、ため池内の水生昆虫群集が大きく変わるということができる。これは7月から8月にかけては、ため池内でマルバネトビケラが減少し、ホソミイトトンボが出現したため、8月から9月にかけては、ヒメアメンボが見られなくなり、オニヤンマやヒメゲンゴロウなどのコウチュウ目が新成虫として現れたためと考えられる。 5.まとめ 本研究では、ため池内の水生昆虫群集は季節ともに変化することが明らかになった。また、水深、草本の密度、水の流入、日照とそれによる水温の違い、低質などの環境要因の異なる各管理区では種構成や各種の個体数などが異なることも分かった。本調査では短期間で多くの水生昆虫が確認されたが、これは休耕田を利用したというだけでなく、背後に水生昆虫の供給源としての豊かな自然があったことも重要な要因である。今後、水生昆虫の多様性の高いビオトープ造りを行うにあたっては、ビオトープ内部に多様な環境を造りだすことはもちろん、水生昆虫の越冬場所など、周辺の環境も保全していくことが必要と思われる。
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