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(市川,1996)。

 

1.ため池の両生類
本研究で造成したため池では、5種の両生類をみることができた。しかし、各種の季節消長や各管理区での分布はさまざまであった。アマガエルの幼生が調査開始時から確認されたのに対して、成体は7月上旬から見られるようになったことから、調査で確認されたアマガエルの成体はこの新たに造成したため池で繁殖したものと考えられる。また、アマガエルの幼生が深水・放置区以外の区に集中していたのは、餌としていたアオミドロなどの水草の分布の偏りが影響したと考えられる。トノサマガエルやアカハライモリは5月のため池造成時にすでに見られ、6月の調査開始時に成体、幼生ともに見られたことから、両種はため池周辺で越冬し、この池で繁殖したと考えられる。また、アカハライモリの幼生が深水・放置、浅水・放置の両放置区に集中して見られたのは、放置区は日照時間が短く、水温が低いことから、水温の低い所を好む性質によると考えられる。モリアオガエルやシュレーゲルアオガエルの成体は、ため池造成時には見られたが、調査期間中には見られなかったので、この両種は水辺を繁殖の場所としてのみに利用していたと考えられる。

 

2.ため池で確認された水生昆虫の由来
本研究では、調査地として設定した休耕田が豊かな自然環境の残された山間部にあるということもあり、造成したため池にわずか6ヵ月で26種もの水生昆虫が確認された。今回造成したため池で確認された水生昆虫は、マツモムシ、ヒメアメンボのように最初から休耕田に生息していた成虫が産卵して増殖したもの、ナツアカネ

 

 

 

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