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9.各管理区の水生昆虫群集の類似性
各管理区の水生昆虫群集の類似性を調べるために、Cπ指数を用いて解析した結果、26種すべてを対象とした場合には、どの管理区の群集構造も極めて類似していることが示された。これは、マツモムシ、ヒメアメンボの個体数が飛び抜けて多いためと考えられるので、この2種の優占種を除く24種を対象に各群集間の重複度を求め、デンドログラムを作成したところ、浅水・放置区と浅水・除草区の水生昆虫群集が最も類似しており、深水・放置区は他の3区とかなり異なった水生昆虫群集が成立していることが示唆された(図10、表7)。

 

10.各月のため池における水生昆虫群集の類似性
ため池全体の水生昆虫群集の各月における類似性をCπ指数を用いて解析した結果、26種全てを対象としたCπ指数より、6月と11月の重複度が0.403と最も低く、9月と10月および10月と11月の重複度が0.996と最も高くなった。マツモムシとヒメアメンボを除く24種を対象としたCπ指数から、デンドログラムを作成したところ、6月と7月および9月と10月と11月の水生昆虫群集が類似していることを示した(図11、表8)。

 

11.水生昆虫群集の時間的推移
6月から7月に、4つの管理区全てに優占種として見られたのはヒメアメンボとマツモムシであった。マツモムシについてはどの時期にも4つの管理区の優占種となっていた。また、マルバネトビケラがこの時期にのみ深水・放置、深水・除草の両深水区に優占種として見られた。深水・放置区では、流水域を好むと考えられるヤスマツアメンボとマメゲンゴロウが優占種となっていた。

 

 

 

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