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JTERC 運輸経済研究センター 1997.10 NO.34
研究調査報告書要旨

 

コミュニティバスの今後の推進方策に関する調査

 

1. 調査目的

 

経済、社会の発展にともなう生活水準の向上により、近年、地域社会内の日常的な移動を支えるモビリティの充実が叫ばれており、特に高齢化社会の到来や、障害者の社会進出機会の増加等という状況下で、これらに対応できる新しい運行形態のバス、いわゆるコミュニティバスの導入についての関心が高まっている。しかしながらバス交通を取り巻く経営環境は利用人員の減少等依然として激しく、従前のバス事業者主体による路線バスに関する導入手法だけでは、このニーズに十分対応できないのが現状である。
本調査は、このように期待と現実とが乖離する状況において、コミュニティバスを実現し維持していくための今後の推進方策の検討を行い、個性ある地域社会づくりの形成に寄与し、地域におけるバス事業の新たな展開への方向性を見出すことを目的としている。

 

2. コミュニティバスの特性

 

コミュニティバスの特性をその導入事例のいくつかについて、指標を用いてその特徴を考察し、導入都市の特性、運行に関する特性についてその結果を整理した。別表(表1)は運行に関する特性について整理したものである。
また、これらの事例をもとに標準タイプのコミュニティバスの特性を高密度市街地型、中密度市街地型、低密度市街地型の3つに分類し、整理した。以下は都市の人口規模や密度、都市イメージ、公共交通サービス水準の状況(既存バス路線密度、マイカー保有率)などからコミュニティバスのタイプを整理した部分である。

 

(1)高密度市街地型
行政区域全体がDID区域(人口密集地区、人口密度40人/ha以上の地域)で、しかも100人/ha以上と高い3大都市圏、政令指定都市など人口15万人以上の都市イメージである。ここでのコミニュティバスは、基本的には鉄道や既存路線バスが充実していることから、一部の公共交通不便地域の解消をねらいとして路線、事業計画が設定され、また自家用車および二輪車の抑制(モーダルシフトの推進)等、都心部の交通問題の改善に寄与することも目的とされる。

 

(2)中密度市街地型
行政区域の一部、1000〜2000ha程度がDID区域であり、DID地区の人口密度が40〜100人/haの地方中小都市など、概ね人口5万人以上15万人以下の都市イメージである。ここでのコミニュティバスは、交通不便地域全てをカバーすることは困難であり、人口密度の高いDID地域内での交通不便地域において、公共施設、福祉施設や中心商業地へのアクセスを主なねらいとした路線、事業計画が設定される。

 

(3)低密度市街地型
行政区域の一部、500ha未満程度がDID区域であり、DID地区の人口密度が40人/ha前後の地方小都市や町村など、概ね人口5万人以下の都市イメージである。ここでのコミニュティバスは、基本的に都市全体が交通不便地域であり市街

 

 

 

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