第1章 IGOSS BATHY報とは
海洋は、地球表面積の7割余りを占め、昔から海運や水産業に広く利用されてきました。最近では、海上空港など新しい人問活動の場としての利用や海洋性レクリエーションなど多方面の利用が進んでいます。また海底の鉱物資源や海のエネルギー資源の取得、食糧資源の増産などの研究開発も進められています。
近年、地球温暖化をはじめとした地球環境問題が、人類の直面する大きな課題として注目されています。地球環境の中でも気侯変動のメカニズムの解明はとリわけ早急に解決すべき課題の一つとなっています。海洋は、大気の千倍もの貯熱量を持ち、また二酸化炭素をはじめ様々な物質を溶解する能力を持つことから、季節変化から世紀にまたがる時間スケールの気候変動に極めて重要な役割を果たしていると考えられています。このため気候変動のメカニズムの解明のためには海洋自体の変動を把握することが不可欠です。
また海を舞台に繰り広げられる海運・水産業・海洋開発などの活動は、それに用いられる装備がいかに近代化され、最新技術の応用が図られるようになっても、大気や鶯淳の自偽環境に大きく左右されることは言うまでもあリません。
水温や海流をはじめとする海洋の情報は、洋上での活動や気象予報、さらには気候変動のメカニズムの解明に欠くことのできないものですが、この情報のもとになる海洋の観測資料は、大気の観測資料に比べて格段に少ないという問題があリます。これは、主に観測点の絶対数の不足によるものですが、折角観測された資料も収集・交換が円滑に行われなかったことも原因の一つとなっています。
これらの問題を解決し広大な海洋から多くの環境情報を常時即時的に把握することは、一機関あるいは一国の努カでは困難であリ、国際的な相互協力が必要です。この観点から世界気象機関(WMO)とユネスコの政府間海洋学委員会(IOC)は、海洋環境情報を全地球的規模で即時的に収集・交換・解析・提供する「全世界海洋情報サービスシステム(IGOSS)」計画を推進しています。
IGOSS計画では、深さ約100mまでの表層水温の解析図をFAX放送等によリ利用者に速やかに提供する業務が最も優先して進められてきました。これらに必要な表層水温観測資料を気象通報の一種として、WMOの整備している全球気象通信システム(GTS)によリ迅速に収集・交換するためWMOによリ国際気象通報式の一つとして「BATHY報」(表層水温通報式)が制定されています。
1972年1月からBATHY報による国際的な表層水温資料の収集・交換が始められ、日本でも1973年以来この通報に参加し、現在毎月約1,000点の表層水温観測資料を即時収集し、国際交換の用に供しています。そして全世界では図に示すように、毎月約5,000点の観測資料が国際交換されています。しかし、広い海に対しては、まだ十分ではなく、各国に観測網の整備と観測資料の収集・交換への積極的な参加が強く呼びかけられています。
平成7年(1995年)6月の第47回WMO執行理事会において、BATHY報の一部改正が承認され、表層水温の観測機器に関する資料を加えることになリ、同年11月8目から新しい通報式による通報が実施されることになリました。これに伴い、この度、「BATHY報の通報手引き」の内容を改め、以下のように、BATHY報を通報する際の手順を解説しましたので御利用下さい。