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海水の透明度の低下として現われる。
 内部波は、一度生成されると、1〜2日の持続時間があり、一定海域に、多数の内部波が同時に、SAR画像として観測されることもある。

(4)スリックのモニタリング海面上のスリックの計測は、環境保全上あるいは、そのための法規制に関連するという点からも重要である。
 スリックの部分は、界面活性物質により海面の表面張力が低下し、さざ波の発生が抑制され、後方散乱断面積が減少するので、SARで検出することが可能となる。

(5)船舶のモニタリングと海難捜索船舶は、海面を背景としていても、強い後方散乱があるので明瞭に検出可能である。また、その航跡も検出可能である。航跡については、密度の異なる二層構造の海域では、「航跡内部波」が発生し観測される場合もある。船舶のモニタリングは、領海、経済水域の監視などに応用できる。
 海難捜索においては、救命いかだのような小さい物体も航空機搭載のSARにより、高空から、広範囲を、迅速に捜索・発見でき、これからの海難捜索システムとしてSARが注目されている。

(6)漁業情報海水の擾乱によるミキシングや風による沖合いへの輸送作用は、魚の餌となる幼虫類の増殖、ひいては点そのものの量に重要な影響を与える。SARは、潮目、フロント、収束域、渦、氷海などを検出することが可能であり、これらの情報は、漁業情報として重要である。
 将来的には、SARによる二次元の流速計測値と数学モデルを組み合わせて、海流の予測を行うことが期待されており、漁業資源量の評価、海運、海難捜索、その他海流情報を必要とする応用分野で有用なものになると見られている。

(3)その他

(1)海面上の降雨状況海面に降雨があると、その部分の海面の後方散乱断面積は小さくなる。一方、降雨に伴って、下降気流が発生、それが海面にぶつかり、外側へ流れる気流となり、その気流は、後方散乱断面積を大きくする。従って、降雨は、独特の形状をしたSAR画像として観測できる。

(2)氷の覆域SAR画像で海氷の覆域および密集度を検出することが可能であり、北極海近辺において、氷海における船舶の航路決定に利用されている。

 

 

 

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