瀬戸内海の漁業について
瀬戸内海では、古くから行われている小規模の漁業が多く、沿岸部では、定置網や養殖漁業が盛んです。 漁船は、1〜2tの小型船が大半を占め、一本釣り、底引き網、流し網、はえ縄及び定置漁業などです。採れる魚種はタコ・エビ・イワシ・イカナゴ・ヒラメ・サワラなどで、タイ網は観光的にも有名です。 瀬戸内海の航路付近の至る所で多数の漁船が操業し、特に4月〜8月の間は、漁業の最盛期に当たるとともに、濃霧の季節でもあるため、船舶の航行にも影響を与えます。一般に、漁船は水道や狭い所に密集し憩流時の前後に多く、最強時には少ないのですが、サワラ流し網のように次の転流時まで移動しないものもあります。また、新月に近い暗夜にも出漁船が多いようです。 操業中の漁具の標識等については、各府県の漁業調整規則に定められていますが、各地域の漁法の相違等もあって、必ずしも統一されていません。 こませ網漁業(下図参照)備讃瀬戸の各航路及び周辺海域では、1月〜11月(8月以降は減少傾向)の間、昼夜間とも「こませ網漁業」が行われています。これは瀬戸内海独特の漁法で袋待網漁業の一種です。この漁法はあらかじめ袋網を海中に沈設しておき、強潮流に乗って押し流されてくる魚類が袋網の中に入るのを侍って引揚げるものです。通常、投網及び揚網は転流時に行い、次の転流時まで漁網は移動しません。網を固定する錨の位置を示す錯タルと補助タルは黄色、その他の浮タルは白色に統一され、夜間は錨タルに赤色の点滅灯を付設したものが多い。船舶は錨タルの外側を通ることにより安全に航行できますが、強潮流時にはこれらの浮標が水没して見にくいことがあるので注意を要します。網の付近で待機中の漁船は、夜間赤灯と白灯とを垂直に連掲しています。 (備考)本誌には小型定置漁具(第2種共同漁業)は、その個々の位置が確定していないので図示していません。
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