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明るい息子に助けられて

吉尾深雪
石川県
昭和四十七年四月、二男正人が妊娠三ヵ月のとき、三歳十ヵ月の長男が交通事故で亡くなりました。私はショックで目の前が真っ暗になり、三ヵ月間ぐらい頭痛が続いて、何をするのもいやになり、ただボーっとしていたのです。
でも、「こんなことをしていては、お腹の子供に悪い」と気を取りなおして、生活を始めた八月に祖父が亡くなりました。そして、十一月に出産のため大阪にいた母に来てもらうことになりました。
ところが、四十七年十一月六日の未明、あの北陸トンネル火災事故が発生しました。母はその「きたぐに」に不運にも乗っていて亡くなってしまいました。
母の死も知らされぬ翌七日、息子は前早期破水などの難産で蘇生術、酸素吸入、保育器という手当を受けこの世に生を受けました。

 

 

 

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