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困難を克服し銀行に勤務

平野和美
兵庫県
私の子供ひとみは昭和五十年生まれ、体重は四千五十グラムもある大きな子でした。二歳になっても言葉らしい言葉は何も出ず、いくら大きな声で呼んでも、電話がそばで鳴っても知らん顔で遊んでいました。
耳鼻科を廻って歩きましたが、どこへ行っても、「少し他の子供より遅いだけで心配はいらないよ」と、言われるばかりでした。
二歳半ごろから、近所の子供たちが遊んでいるところへ連れて行きましたが、三回目ぐらいになると遊んでくれません。「どうして」と聞くと、「お母さんが、ひとみちゃんと遊ぶと耳が聞こえなくなって、お話しもできなくなるから、遊んだらあかんといいなはったから」と、答えました。私は、「どうして、なぜ」と、やりきれない気持ちでいっぱいでした。
それで私は、病院がだめならろう学校へ行ってみようと思い、府立京都ろう学校へ訪ねて行

 

 

 

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