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二人の孫育てに懸命

寺岡登志子
神戸市
昨年十一月、東京のヤクルト会館で開かれた「お母さんをたたえる会」に招かれました。胸にハマナスの花を飾り、紅白のリボンで結んだ楯と、「ハマナスのうた」の本を贈られました。この喜びを早く主人に見てもらうと、帰りの新幹線に乗りました。娘を育てるために苦労した三十年は、この会に出席させて頂いたお陰で、私も家族の苦労もふっ飛んでしまいました。
三十年前、生まれた娘の耳が聞こえないことから始まり、現在に至るまでが、走馬灯のように思い出されます。そして、お母さん方の体験談を聞いて、「皆さんも私と同じような苦労をされたのだ」、「人それぞれ違うが、障害の子を持つ親の気持ちはみな同じだなあ」と思いました。
「原稿を書いてみませんか、手紙のように気軽に」とお手紙を頂き、書く決心をしました。私は孫のことを書きます。耳の不自由な親、その子供と、いろいろな人生をひきずりながらの

 

 

 

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