日本財団 図書館


種目別の動作の特徴と安全対策

[1]ペタンク

1)動作の特徴
男女それぞれ1名のプレーヤーについて、ゲーム中の動作とその動作を行った合計時間を図表1に示した。また、それらの動作がゲーム中どの程度の割合で行われているのか、その比率を図表2に示した。ゲームはいずれも3メーヌ(3ゲーム)で、動作分析対象時間は男性プレーヤーが28分49秒、女性プレーヤーが32分38秒であった。
ペタンクでは「立位静止」状態が多く、ゲーム全体の約50〜60%を占めていることがわかる。これは、おもにビュット(目標球)の近くでゲームの進行を観察しながら、投球の順番待ちをしている状態である。1メーヌがおおよそ10分程度であったから、1メーヌ中5〜6分は立っていたことになる。
次いで多いのが「歩行」で、ゲーム全体の約30〜40%を占めている。これは投球場所からビュット(目標球)付近への移動、ビュット付近でゲームの進行をよく観察するための移動などである。「立位静止」と「歩行」を合わせると、ゲーム全体の約90%を占めていることになる。
また、ボールを拾いあげるときの「腰かがめ」動作が全体の約5%あり、したがって投球に関係する動作は「投球」「投球構え」を合わせても全体の10%以下であった。ゲーム中の実際の投球数は、3メーヌ合計で男性プレーヤーが24球、女性プレーヤーが25球で、1メーヌ平均では約8球であった。
ペタンクではゲーム全体を通して急激な動きは見られなかった。投球動作にしても、ボールをできるだけ遠くに投げることもなく、10数m先の目標球の近くにボールが止まるようにコントロールして投げているので、動作はゆったりとしている。熟練者になるとボールを上方に大きく投げ上げる投球法を用いるプレーヤーもあるが、今回の測定対象となったプレーヤーではそのような投球は見られなかった。歩行にしても、動きはゆっくりとしており、移動範囲もあまり大きくない。これらのことから、ペタンクはあまり強くない運動強度の動作で構成されているといえるだろう。
2)動作から見た安全対策
●金属球の扱いに注意しよう!
ペタンクを構成する動作およびゲームの展開から考えて、運動強度はかなり低いと思われる。動き自体には傷害や事故につながるような要素は特に見当たらなかった。高齢者でも十分安全に実施可能な種目であるといえるだろう。ただ、用具として重さ700g前後の金属球を使い、また投球時に手のひらを下にして指で包み込むようにボールを保持するので、油断すると落とす危険性がある。初心者は誤って足などにボールを落さないよう、取り扱いに十分に注意すべきであろう。
●「手首投げ」に注意!
初心者ではボールをコントロールしようとするあまり、腕の振りをあまり利用せず手首だけを利かせて投げようとする場合がある。いわゆる「手首投げ」になると、ボールの重

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION