福岡大学医学部の『献体14年』
福岡大学医学部 本学医学部が開設されたのは1972年4月であり、開学後すでに満24になるが、篤志献体についての対応は標記の如く未だ日が浅い。それは下記の理由による。 医学部開設当初から、解剖実習のための遺体確保が極めて困難であることが予想されたため、当時の解剖学教育職員及び医学部事務職員が中心となり福岡県内ばかりでなく周辺数県の福祉事務所、老人福祉・医療施設及び公・私立医療施設等々に遺体提供についての協力依頼活動を強力に行った。その結果、上記施設から絶大な協力を得ることができ、第1回解剖実習(1974年9月開始)より本年度の第23回解剖実習まで常に学生4名が1遺体以上を解剖し、充実した人体解剖実習が行われている。上述の状況から篤志献体登録者を募るための活動は今日までなされずにきたが、第1号献体登録希望者が1983年4月1日に来学され、その後登録者が増加し、本年7月31日現在で登録者数280名であり、そのうち成願された方が34名に達している。したがって、第1号献体登録希望者の来学時から数えれば標記の如く『献体14年』である。 本学は1978年4月、篤志解剖全国連合会(以下、全連と省略)大学部会に入会することにより、献体行事に関しては応分の協力を行っている。とくに第101回日本解剖学会総会・全国学術集会(会頭;三好萬佐行福岡大学教授)のおりには、慣例により日本解剖学会総会開催校である本学の協力のもとに全連総会が開催された。1996年4月1日、ホテル福岡ガーデンパレスに於て全連第26回総会が開催され、その前日の3月31日には福岡大学文系センター棟に於てサテライト会議が開催され、いずれの会議も滞りなく進行した。 慰霊祭は毎年10月第3土曜日に病理解剖体との合同慰霊として執り行われ、福岡市内の斎場に於いて仏式で挙行される。式場にはご遺族、来賓が招待され、医学部教育職員、事務職員、附属病院職員、医学部学生及び看護学生が参列して荘厳に執り行われる。さらに、3月、8月及び11月に学内の慰霊室で追善供養がいとなまれる。尚、福岡市内の名刹萬行寺境内には福岡大学納骨堂が設備されてあり希望者及び単身者の遺骨が納められている。 (解剖学第一講座 宮内亮輔)
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