大阪医科大学の献体13年
大阪医科大学
学校法人大阪医科大学の前身である大阪高等医学専門学校は、我が国初の5年制の医学専門学校として、昭和2年4月に設立されました。初代校長は足立文太郎であり、解剖学の教育に当たられましたが、当時は勿論、献体組織といったものはなく、個人的に本学出身の先生が遺言により献体されたり、本学の先生に病気の世話になり恩返しの意味で献体された方がたまにおられた程度でありました。 医学生の系統解剖学実習にと献体組織「さつき会」が創設されたのは、昭和58年、第88回日本解剖学会総会が、第二解剖学教室の木原隆教授が会頭として本学で開催されたのを契機としてであります。初代会長は、もと大阪通関にお務めの織田重治さん、副会長は本学卒業生の入野敏夫先生と手塚山学院大学教授の小高恭先生です。従って平成8年の今年で結成13目年目になります。木原教授の希望で、設立当初より、「さつき会」は献体組織というよりは、会員の親睦が主目的であります。毎年5月の天気の良い時期にお互いの健康を確かめ合い、解剖慰霊祭を行なっている光松寺の住職の講話や会長のライフワークである世界の葬儀の様式の見聞を交えた海外旅行の話などを聞き、後は「カラオケ大会」を行なって会員の親睦を深め、これと言った献体活動は会としては行なっておりません。その初代会長の織田さんも昨年78歳のご高齢で亡くなり、遺言により本学に献体されました。平成元年木原隆先生の後任として、島田が就任してからは、学長による大学の現状報告、臨床教授による「老いに際しての身体的、精神的ケア」の話をこれに付け加えております。平成8年3月31日現在の延登録者数は1,305名、うち、生存会員数は978名、成願者数は327名であり、毎年約80〜l00名の会員が増加しております。 昭和58年以後、過去13年間の本学における年度別系統解剖実習引受遺体数の推移は以下の通りです。()内の%は献体者率を示します。 昭和58年28体(14.3%)、59年46体(19.6%)、 60年43体(25.6%)、61年38体(39.5%)、 62年35体(48.6%)、63年40体(40.0%)、 平成元年36体(52.8%)、2年26体(46.1%)、 3年50体(70.0%)、4年42体(61.9%)、 5年33体(48.5%)、6年39体(64.1%)、 7年28体(89.3%)全国的に生前献体率が100%の大学が増加する中、本学も年々徐々に献体率が上がってはおりますが、なお一層の献体率向上に努力する必要があります。 (文責 第二解剖 教授 島田眞久)
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