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獨協医科大学の献体20年

 

獨協医科大学

 

獨協医科大学は昭和48年に開学しました。開学当初より、解剖体収集管理のための全学的組織である「解剖体対策委員会」および「同委員会事務室」を設置し、同委員長・事務室長の江藤盛治初代解剖学教授(現名誉教授)と、専任の平岡事務長とのもとで、献体とその登録についての啓蒙活動と、ご遺体の収集活動とを開始しました。
同事務室は、発足直後から「白菊会獨協医科大学支部事務室」をも兼ねてきましたし、また「篤志解剖全国連合会」が設立されてこれに加入してからは、同連合会への窓口としても機能してきています。
開学以前の栃木県下では、医学部で行なわれる解剖学教育というものに馴染みがなく、解剖体収集については極めて困難な状況が予想されました。しかし、県下の市町村をはじめ医療施設や福祉施設を歴訪し、解剖体の必要性を訴え、その収集への理解・協力を求め続けた結果、開学の翌年に行なわれた第1期生の解剖学実習には、必要なご遺体を確保することができました。しかしこの当時は栃木県内ではまだ、「献体」ということすら知っている人は少なく、最初の1年間に当大学に献体登録をなさった方は1名だけでした。
開学以来20年以上が過ぎた現在では、白菊会の当大学支部は県下にかなり知られ、個人の方をはじめ、病院・老人施設の担当者の方などからも、毎日のように問い合わせや申し込みの相談が来るようになりました。
全国的に解剖体過剰となりつつある状態の中で、ご遺体をお引き取りする数が増加するに伴って、当大学では3年ほど前から、ご遺体のお引き取りと献体登録の受け付けとを、栃木県内に在住の方々だけに限らせて戴く方針に切り替え、また、献体登録なさる方でも、薬液注入による防腐処置の奏効が期待できない場合はご遺体をお引き取りしないことに致しました。
現在、献体登録の申し込みは、およそ年間50件ほどで、献体登録者団体をお持ちの諸大学とは比べるべくもありませんが、開学した最初の2年間、献体登録が年に1名ずつしかなかったことからすれば、献体についての理解、認識の広まりは驚くべきことです。
現在では、栃木県内でも一般の人々も大概「献体」という言葉とその意味を知っています。当大学では、現在は献体についての啓蒙活動は特には行なっておりません。登録者の方々の口コミにより徐々に登録数が増加している現状を、好ましい状態と受け止めています。今後も当大学としては、献体活動に関して独自の登録者団体を設けることをせずに、現状の態勢を維持して行くつもりでおります。

 

 

 

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