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奥羽大学の献体23年

 

奥羽大学歯学部

 

医療機関にとって人体の解剖は教育と研究のためには欠くことができない重要なことであり、この中で解剖学教室においては教育用の遺体確保は最重要な業務である。本学は昭和47年4月に東北歯科大学の創設に伴い、池野谷達雄教授が着任し、口腔解剖学第一講座が開設され、第一歩として2年後からからはじまる解剖学実習用の献体のための基盤作りがおこなわれた。大学当局の協力のもと福島県内を始め茨城県の施設、病院、役所を訪問し、精力的に遺体収集PR活動を行った。そして徐々に献体に関する理解も高まり、開学後、半年を経過した昭和47年11月に初めて献体受領があった。この間も解剖学教育に必要な骨格標本、歯などの充実に勤めた。
本学は創設時より白菊会の支部として発足し篤志献体の登録第1号は昭和47年11月で、昭和52年に初めて篤志献体の解剖が2体おこなわれた。
本学の第1期生の解剖実習は昭和49年6月より12月まで行われたがこの時、学生10名に1体の割であった。その後学生7〜8名に1体と徐々に改善されたが解剖実習用遺体の不足は続いていた。昭和61年頃より献体数も増え学生5名で1体確保できるようになり、平成元年に学部増設があり東北歯科大学から奥羽大学歯学部としてスタートし、この年より学生4人に1体の実習が可能となった。篤志献体入会者は昭和59年までは毎年10人以下で累計46名であったが、昭和60年度以降は毎年20名前後の献体登録があり、現在132名になっている。受納遺体は平成元年から7年まで261体で年平均37体の受納があり、本学は現在募集定員100名であり、必要体数は学生4名で1体の割合として25体プラス2〜3体としてみても10体ほどは使用年度を繰り延べしたり、研究用、大学院生教育にも供している。したがって遺体保管庫も増設して対応している。このように解剖体確保が困難な時代から考えると解剖体収集は順調に行われている。解剖体収集業務と遺体搬入は大学職員と葬儀社でおこない、日曜や祝祭日も大学事務局と口腔解剖学第一講座のスタッフが当番制で対応している。搬入された遺体の防腐処置,解剖実習の準備は解剖学スタッフと技術員がおこない、解剖体火葬や遺骨返還業務は講座のスタッフだけでなく大学職員が主となっておこなっている。毎年6月の第一週には献体者の御遺族、白菊会会員、学長以下関係職員と学生が参列し慰霊式を挙行している。昭和50年の第1回以来、本学内で15回行われ、平成元年に郡山市片平町常居寺に慰霊碑を移設しこの地で慰霊式をおこなっている。本年(平成8年)6月に第21回の慰霊式が終了したところである。この様に全学的な協力のもとで献体業務がおこなわれ、物故者と御遺族にたいし喪心より敬意を表している。

 

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