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「日本の献体40年」発行を祝して

 

衆議院議員 小沢 辰男

 

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我が国の献体運動が40年を経過したことに大きな驚きを持ち、又その運動にたずさわってきた方々に敬意を表するものであります。
戦後、医学歯学の教育の場で解剖学実習用のご遺体が極度に少なくなり、医学教育の危機と呼ばれた日々が昨日のように思い出されます。当時、解剖体を確保するため解剖学の先生方が大変な努力をしておられました。その後、白菊会を初め全国各地で献体の団体が生まれ、大学の教育を支えようとして努力されておりましたが、その献体運動の推進者の方々のお姿は実に尊いものでした。
私共も医学教育の最も基礎的な学問である解剖学が重要であることは良く解っており、多くの方々が相談に来られました。解剖学の先生や献体の団体の関係者の方々でしたが、実に熱心でした。その方々が解剖学の重要性を熱っぽく語っておられました。
その頃の解剖学会は、まだ任意の団体でした。学者の先生の集まりであり、善意から出ているものであることはよく解りましたが、国をまとめる私達議員にとりましては、解剖学会が社会的な資格を与えられていない、いわゆる任意団体のためのデメリットはありました。その解剖学会が昨年は創立100周年の記念事業を見事に成され、社団法人の認可も受けられました。関係各位のご努力に心から敬意を表し、お祝い申し上げます。
献体の法制化については私も初めから熱意をもって当たりました。高木健太郎先生が努力されました。竹重先生、郡司先生も忘れられない方です。超党派で献体に対する法律を通し、献体推進議員連盟を作ってもらい私が会長を続けておりますが、当初の解剖体不足は完全に解消されたそうで、あの当時の努力が報われました。今後はいろいろな事情で不足している大学に姉妹関係を結んで援助するとかして大学間の格差をなくすことも必要でしょう。又、医療を支えているコメディカルの教育にも充分な解剖学教育や実習も必要となる時代も来るでしょう。
40年の経緯を積んできた協会や全連が、今後更に活躍し発展され、日本の医学歯学教育、医療等に貢献されることを願っております。

 

 

 

 

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