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◇野上美里消防組合消防本部◇(和歌山)

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当消防組合は、野上町、美里町の二町により構成されている。
当地域は、和歌山県北部に位置し、東は伊都郡かつらぎ町、西は海南市に接し、南は長峰山脈を境に有田郡、北は那賀郡に接している。東西二三?q、南北に一〇?qに亘り、総面積一二八?q、人口一三、六九〇人。海南市、和歌山市のベッドタウンとして道路整備等が進み、東西を走る国道三七〇号線は高野山参拝ルートとして通行車両の増加が近年著しい。
管内の美しい山里に「星の動物園」というネーミングをもつ我が国最大級の天文台ができた。この天文台は、公開用としては日本一の口径(一〇五?p)のカセグレン式反射望遠鏡を備え、本格的なスターウォッチングができる施設として天文マニアの評価が高い。当施設のインターネットを通じ様々な情報や知識が町の発展に寄与することを期待している。また、箒や束子に利用される「しゅろ」の産地として全国的に有名である。
昭和五三年一〇月に業務開始された当組合は、一本部、一消防署、消防長以下三一人の職員で三交替制をとっている。また、両町消防団二団、一六分団、六二八人の消防団員が地域防災の任にあたっている。
♪「応援協定」
阪神・淡路大震災を契機とし、消防組織法第二一条に基づく消防相互応援協定を結んでいる。
平成八年二月に県下防災ヘリコプター応援協定、同三月に和歌山県下消防広域相互応援協定、震度情報ネットワークシステム整備協定及び海南市、那賀郡、伊都、有田各消防本部間における消防相互応援協定を締結した。
♪「防火七夕祭り」
毎年七月七日には、「防火七夕祭り」が管内八保育所で行われる。
園児が作った短冊や飾り絵を吊した笹飾りを消防署前に飾り付け、通行人やドライバーへの防火PRに役立てている(写真)。さらに、秋の運動会で幼年消防クラブによる防火PRを行うとともに、毎年秋季火災予防運動では、一日消防署長として野上町は婦人団体の代表者を、美里町は婦人消防団員に委嘱し、職員と街頭での防火意識の啓発に努めている。
♪「高齢者対策」
当管内での高齢率は高く、併せて昼間人口も少ないため、救急業務の高度化と高齢者が安全で安心して住める町づくりを推進している。特に独居老人に対し緊急ペンダントを配布し、緊急通報時には補助員へのネットワーク化により、高齢者への迅速な対応を図っている。また、高規格救急車が今年度導入され、救急救命士の研修終了を待って平成九年四月から本格的な運用を開始する。今後も毎年一名の救急救命士の養成を行い、救命効果の向上を目指していく。
♪「人」と「和」
消防長は、重点施策として、組織の強化と救急業務の高度化を最優先に、▽迅速・適切・誠実・親切、▽オールマイティーの消防人、▽職務に精励、▽常に問題意識とプロ意識を持つ、以上を念頭に広域レベルでの視野に立ち、職員個々の自発的な意欲が生かされる環境づくりを心掛けるという。
「初心忘れるべからず」をモットーに、救急、救助等の各分野に実力発揮できる消防人として、常に問題意識を持ち、職員一人一人のレベルアップが必要とも。トップダウン方式からボトムアップ方式への転換により、職場の活性化を図った良い例として、現在の三交替制への移行にあたり職員からのアイデアを募り、平成五年一〇月より一〇か月間にわたり職員全員で検討してきたこともその表れであろう。また、平成九年度は三名の新規採用者が確定している。
「組織は人、そして人の和を大切にする」という力強い言葉が印象的であった。(落合俊夫)

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