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ワンポイント 消防職員のための法令用語解説

 

行政手続法の用語の定義(四)

 

七 行政指導
(一)行政指導の定義は、次のとおりである。「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」(行政手続法二条六号)。
行政指導については、学説では、いろいろ定義がされていたが、用語の定義として、行政手続法で、定義がされた。
特定の者に、具体的行為(不作為を含む)を求める行政機関の行為であることに特色がある。
しかし、「処分」と異なり、法令により直接相手方に権利・義務の変動をもたらすものでなく、相手方の協力によって行政目的を実現することに、行政指導の特色がある。
行政指導に従わなかったからといって、相手方に法律上、不利益が発生するということではない。
(二)地方公共団体の機関が行う「行政指導」地方公共団体の機関が行う行政指導については、行政手続法の行政指導に関する規定は、適用されない(行政手続法三条二項)。
行政手続法は、地方公共団体の機関が行う処分のうち、処分の根拠規定が、法律又は法律に基づく命令にあるものは、行政手続法が適用されるが、その根拠となる規定が、条例又は地方公共団体の規則におかれているものについては、行政手続法の手続が適用されないことになっている(行政手続法三条二項)。
それとの関連で、地方公共団体の機関の行う行政指導は、法律に規定されているものを実施するための行政指導が、条例に規定されているものを実施するための行政指導かを、はっきりと区別することがむずかしいので、一律に、地方公共団体の機関の行う行政指導については、行政手続法の行政指導の規定は適用しないことにしているものである。
しかし、地方公共団体は、行政手続法三八条により、「第三条第二項において第二章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出の手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」ことになっており、現在、多くの地方公共団体で、「行政手続条例」が制定されている。
そして、その多くは、「行政手続法」と同じ内容の条文を、「地方公共団体が条例又は規則に基づく処分及び地方公共団体の機関の行う行政指導」について定めており、そうなると、行政手続法と同じ扱いとなる。
もっとも、地方公共団体においては、条例に工夫をし、行政手続法と若干異なる規定を設けているところもある。その場合は、行政手続条例の「行政指導」の規定の解釈は、行政手続法の解釈も参考にしながら、条例の規定を解釈していくことになろう。
全消会願問弁護士 木下健治

 

 

 

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