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消防最前線

 

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火災

無防備なごみ焼却による火災事例
富士市消防本部(静岡)

 

富士市は、静岡県の東部に位置し、日本三大急流にかぞえられる富士川以東にあって富士山麓から駿河湾へ広がる二一四k?uの扇状地形にあり、富士山麓から湧きでる豊富な地下水と、森林資源によって製紙工業が発達し、全国一の紙の都といわれるまでに成長している。また、市内には、JR東海道新幹線、JR東海道本線、JR身延線、私鉄岳南鉄道、国道一号線、一三九号線、東名高速道路などの主要幹線が縦横に走り、産業の街にふさわしい立地環境にある。
当市は、二三三、〇〇〇余の人口の街で、消防は、一本部三課、二署六分署で、消防職員二五四人で組織構成されている。今回紹介する火災は、建物の近くでごみを焼却していたところ、折りからの風に煽られ、傍らの竹垣の枯れ葉に飛び火、叩き消したものの完全に消火できず、これが導火線の役目となり木造の物置兼作業所の外壁(板張り)に着火し延焼拡大、さらに、隣接する木造住宅及び木造二階建てアパートにも延焼した火災で、一時は火勢を鎮圧させ鎮火状態に至ったが、アパートの二階天井裏部分に、残り火があるものと判断し、家主の承諾を得た後、隣室の天井の一部分を破壊、残火の処理を行ったもので、確認せず消防隊が引き上げたならば再燃の可能性を十分に包蔵していたもので、現場指揮者の冷静な判断により消火作業を行い、再燃を防止した火災である。

 

一 火災の概要
(一)出火日時 平成八年四月二五日
九時三九分頃
(二)覚知別 一一九番通報
(消防本部通信指令室)
(三)覚知時刻 九時四四分
(四)場所 富士市中丸二八○番地
(五)気象状況 天気 晴、風向 南南西、風速三・一m/S、気温一九・八℃、湿度 三八%
(六)り災物件 全焼四棟(物置兼作業所三、住宅一)
半焼一棟(アパート)
ばや四棟(アパート二、住宅一、店舗併用住宅一)
(七)焼損面積 四一六?u
(八)出火箇所 屋外塵芥焼却場所
(九)出動車両(人員)

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二 出動状況
九時四四分、一一九番通報により覚知した消防本部通信指令室は、建物火災の第一出動を指令、指揮隊一隊、消防隊四隊、救助隊二隊、救急隊一隊、消防団隊一隊を出動させた。さらに、出動途上、現場付近の上空に黒煙が上昇していることを視認した南小隊からの無

 

 

 

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