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平成八年度消防機器の改良・開発最優秀作品コンセントのトラッキング火災防止対策

 

大阪市消防局溝口達夫 山本忠之

 

一、 はじめに
電気を発火源にする火災は、本市で一年間に発生する全火災の約一割程占めており、その発生経過も生活様式の変化や、新機種の開発等に伴い多様化してきている。その中で写真1のコンセントのトラッキング火災が表1に示すように増えてきており、これが観てもいないテレビの裏とかの全く思いもよらないところから発生するため、最近大きな問題となっている。
平成七年に発生した大地震では、熱帯魚の水槽付近からの火災が話題になっていたが、これもこのトラッキングが原因の一つである。
トラッキングが特に危険であり問題とされているのは、電気機器の電源スイッチを切って注意していても防ぐことができず火災になるのと、火災になるまで全く配線遮断器(ブレーカー)が作動しない点にあり、また、人がいない状態で出火することがあり、発見が遅れ被害が大きくなる危険性を含んでいるためである。
本研究では、その出火に至るまでの経過に着目し、防止対策を検討した。

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写真1 トラッキングによる発火例

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表1 火災発見件数

 

二、 出火原理
トラッキング現象を簡単に説明すると、プラグとコンセントの接続箇所のわずかな隙間に埃等がたまり、これに空気中の水分が吸着するとプラグの栓刃と埃の問で小規模な放電が発生するようになる。そしてこの際に発生する熱のため、これが長期間繰り返えされると、プラグ及びコンセントの

 

 

 

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