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消防最前線

 

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火災

高圧ガスと危険物が混在した施設で理発火災
埼玉県央広域消防本部(埼玉)

 

はじめに
当消防本部は、埼玉県のほぼ中央に位置し平成八年四月に鴻巣市、桶川市、北本市、吹上町、川里村の五市町村により発足した管轄面積一一三km2、人口二六万人を擁する消防本部で、首都圏から四〇kmという地理的条件により人口の増加が着実に進んでいる。ここに紹介する事例は、当消防本部発足前に北本市内の高圧ガスと危険物が混在した施設で発生した火災である。

 

一 火災の概要
(一) 火災発生日時
平成七年七月三一日 八時二七分頃
(二)火災発生場所
北本市大字下石戸下一九 M株式会社 製作所
(三)覚知時刻 八時三一分
(四)鎮圧時刻 八時五五分
(五)鎮火時刻 九時四四分
(六)焼損状況
工場(一棟)・焼損床面積 一四四m2半焼
工場(一棟)・焼損表面積 七m2部分焼
(七)出動車両及び人員
消防暑 二五台 八七名
消防団 十三台 一六一名

 

二 被害状況
(一)人的被害
死亡 一名・重症 二名
中等症 二名・軽症 一八名
(二)物的被害
全損 工場二棟
半損 工場一棟
小損 工場・住宅一四三棟

 

三 事故の概要
平成七年七月三一日八時二七分頃、設備担当作業者が押出ブレス装置を稼働させるため当該装置のアキュームレーター上部に設置されている手動バルブの操作を行っていたところ、当該設備に連結されている圧縮空気貯槽付近において爆発・火災が発生した。

 

四 活動状況
八時二七分、朝の大交代終了寸前にドーンという鈍い音と共に庁舎建物のガラス窓が揺れるほどの衝撃があった。すぐに車庫前に出ると南側上空で猛烈にキノコ状の黒煙が立ち昇っているのを視認した。同時刻に女性の声で「今ものすごい音がして爆発がおきています。黒い煙も上がっています。」と一一九番通報があり、指令係からの出場指令を聞きながら出場した。
先行隊からは、「出動途上で現場付近の上空に灰色の煙が上昇しているのが見えるが炎は確認できない」との情報が入った。到着時会社内道路上にガラス及びスレート等の破片が散乱し、出火建物は屋根の一部を残しすべて吹き飛び鉄骨のみとなっており爆発力の大きさを伝えていた。この時点での被害が大きく、延焼拡大の恐れがあったので第二出場を要請した。
最先着隊が現場到着時、出火建物付近に爆発によると思われる負傷者が多数おり、応急救護所を設置するとともに四隊の救急隊がこ

 

 

 

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