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ワンポイント 消防職員のための法令用語解説

行政手続法の用語の定義(二)

 

四、 申請
申請とは、「法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分一以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。」(行政手続法二条三号)。
即ち、行政手続法でいう「申請」は、許可、認可、免許、承認、決定、検査等を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきものとされているものである。
消防法令上は、行政手続法上の「申請」に該当するものが多くあるが、これらについては、後に説明することとする。

 

五、 不利益処分
不利益処分とは、「行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。
イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要ときれている手続としての処分
ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの(行政手続法二条四号)。
これは、行政庁の処分のうち、国民に不利益な効果を有するものについて、その効果を受ける者に、事前に、意見をのべる機会を与える等の手続をとることが望ましいが、行政手続法では、行政手続の相手方である国民の権利利益のことについて定めることとしていることから、特定の者に義務を課し又は権利を制限する処分を対象として、「不利益処分」としているものである。
しかし、「事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分」は、「不利益処分」から除かれる。
それには、行政上の強制執行行為、即時強制行為、調査のための立入り等が入るが、これは、「処分」と「事実上の行為」とは、その行為の性質が異るため等の理由で、除外されているものである。
また、「申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分」も、「不利益処分」から除外されている。これは、「申請に対する処分」として規定しているためである。
さらに、「名あて人となるべき者の同意の下にされている処分」も、不利益処分から除かれる。これは、相手方の意に反したものとならないから、「不利益処分しから除外したものである。
また、「許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅したとの届出があったことを理由としてされるもの」も除外される。これは、相手方が、そのような事実から、処分を当然承知していると考えられること等の理由からである。

 

全消会顧問弁護士木下健治

 

 

 

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