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◇瑞浪市消防本部◇(岐阜)

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瑞浪市は、日本の中央、濃尾平野北東部の東濃丘陵と総称される丘陵部分に属しております。周辺に分布する瑞浪層群は、化石の宝庫として有名であり、特に巨大哺乳類『デスモスチルス』の化石発見では一躍「太古の宝」として世界の脚光を浴びました。
そのほかにも「月のおさがり」とも呼ばれる美しい巻貝,『ビカリヤ』など三、五〇〇点にもおよぶ化石が出土しており、「地球回廊」の時間旅行へと誘ってくれます。
一方産業においては、五〇〇有余年の歴史を持つ窯業を基幹産業としており、芸術性高い美濃焼は、川端康成が『千羽鶴』の中で「白い釉の中にほのかな赤が浮き出て、冷たくて温かいような艶な肌…」と描いているほどです。
志野、織部、黄瀬戸といった味わい深い古陶から、現在では和洋食器からニューセラミック製品にいたるまで、美濃焼の特長である優れた絵付技術の伝統を生かした白磁器を生産しております。
消防本部は、昭和三八年に発足一本部一署一分署、四八名で面積一七五k?u、人口約四二、〇〇〇人の防災の任に当たっております。

 

♪目指せ救急?U課程取得
当本部は、平成三年五月から毎月一回管内の救急病院から医師を講師として招き「消防本部救急医療研修会」を、また救急病院で看護婦とともに「救急医療研修会(救急とケアの会)」を実施しており、現在まで延べ一二四回を数えております。(写真)
この研修会実施の経緯は、平成三年四月の救急救命士法制定後に、「助かるはずの命を教え−教命率向上」、「傷病者の早期社会復帰」というスローガンを掲げ、その実現に不可欠な、「素早い応急手当→教急隊による処置と搬送→医療機関の処置」というスムーズな医療形態を確立する目的からとのことです。
さらにそれを機に、署員全員が教急?U課程取得を目指しており、現在まで救急救命士、教急?U課程、教急?T課程研修終了者は、署員全体の八〇%を超えており、目標達成まで時間の問題と思われます。
♪消防団員が活躍
いまでは出初式などの消防関係行事、市主催の行事などに音楽隊の演奏は、場に華を添える意味において欠かすことのできないものですが、当本部では人員的な問題もあって音楽隊を配置出来ない状況にありました。そこで音楽好きの消防団が先頭になって呼びかけを行った結果、平成六年七月に消防団員により「瑞浪市消防音楽隊」が誕生いたしました。
消防団による音楽隊は、現在では隊員二九名により幅広い活動を行い、その回数は既に一二二回に及んでおり、今後、ますます活動の場が広がり、消防の広報に一役かうことが出来ればと、練習時間の調整にも一苦労とのことです。
♪紙面作りに東奔西走
市の広報誌である「広報みずなみ」に毎月一、二頁の消防関係記事を掲載しており、業務のかたわら、取材のため市内各地を東奔西走しております。
ほのぼのとした話題、悲しい話題、コラムなどの掲載と、取材のために住民と接する機会も必然的に多くなり、地域住民に密着した消防行政は心温まるものが感じられます。
♪消防長のモットー
水盤消防長は人生訓「敬天・愛人・克己」(天を敬い、人を愛し、おのれに克つという大衆文学の先駆者である中里介山の言葉)をモットーに署員に接しておられるとのことで、全署員が自分に厳しく自己啓発に取り組み、住民を心から愛し、いつまでも「安心して住める町」であることを願い続けています。(椎谷敦)

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